内容説明
高校生の菓奈は人前で喋るのが苦手。だって、言葉がうまく言えない「吃音」があるから。そんな菓奈が密かに好意を寄せる真雪は、お菓子作りが得意な究極のスイーツ男子。ある日、真雪が保健室登校を続ける「保健室の眠り姫」こと悠姫子のために作ったチョコが紛失して……。鋭い推理を、つまりながらも懸命に伝える菓奈。次第に彼女は、大切なものを手に入れていく。スイートな連作ミステリー。
目次
第1話 チョコレートが出てこない
第2話 カトルカールが見つからない
第3話 シュークリームが膨らまない
第4話 フルーツゼリーが冷たくない
第5話 バースデイケーキが思い出せない
第6話 クッキーが明けられない
最終話 コンヴェルサシオンはなくならない
おまけ マカロンが待ちきれない
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
157
最後まで爽やかな印象を残して読み終わった。友人の少なかった菓奈が、吃音という障害のある中、コミュニケーションを取り戻していく過程の半ばまで。スイーツが媒介となり、探偵としての力を発揮していく。世の中の、吃音などの障害に対する理解がまだまだ希薄なことは残念だが、そのことは作中にも機会ごとに触れられている。現実は、いじめなどの問題は簡単には解決できないので、この作品のようにスムーズには行かないかもしれない。しかし真雪くんや悠姫子さんなど、本当の理解者の出現が、どんなに力づけられるかを、この作品は示している。2021/05/22
扉のこちら側
154
2018年172冊め。お菓子に関する知識がないのでそういうものかと感心しながら読了。表紙やタイトル、キャラクター描写が漫画巻あるが、根底にあるテーマは深いと思う。鍵を握る人物の秘密については、彼女の主人公に対する言動からそうなのだろうとは思っていたが、まさかあそこまでだったとは思わずページを遡って確認してしまった。私だけではないはず。2018/06/05
ダイ@2019.11.2~一時休止
137
連作短編集。青春ミステリー。解説にもあるように思わず読み返してみたくなる作品。2016/11/11
nayu
125
通常ならば食指が動かないようなタイトルの本なのだけれども、「吃音」の文字がふと目についてしまい、購入するに至ったのである。 何を隠そう私自身連発伸発難発のトリプルハイブリット吃音持ちであるからして、無視できなかったのである。 なので共感すること多数あるのであった。 お菓子作りを化学実験になぞらえられると、興味が出てきて試してみたくなるけど、なるだけなんだよなぁ。 主人公に黒い部分があるのがなかなか良いファクターになっている。 シリーズ化するのか分からんが、まぁ期待しないで待っていよう。2016/11/12
Aya Murakami
123
主人公の吃音の少女は作中で「結構性格がゆがんでいる」と称されていましたが、復讐することってそんなに悪いことなのでしょうか?と思いました。ほら…、パシュトゥーンの掟なんかでも復讐の項目とかあるし…。 風邪の症状に苦しみながら読んだナツイチ2017の1冊。2018/02/03