内容説明
石出は、殺人の罪を償って13年ぶりに出所。真面目に仕事を始めた矢先、石出の部屋で、祖母の介護担当だった女性が殺される。石出は容疑を否認するが、情況は不利。鶴見弁護士は、彼の無実を信じて調査を開始する。出所直後に山中温泉を訪ねている事実を知り、行動をたどると、意想外の過去の因縁が――。哀切をおびた山中節の世界から連続殺人を解き明かす鶴見弁護士の活躍!
目次
第一章 身代わり
第二章 山中節
第三章 行き詰まり
第四章 山中温泉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
102
鶴見弁護士シリーズ8巻目になるのかぁ。今回は、私の思っていた鶴見弁護士とは違うイメージで、昇っていた梯子を突然外された感じだった。ん~いま一つの感が否めない。弁護士のお世話になったことはないが、被告人の利益の為に闘う意味が難しい。柏田弁護士と鶴見弁護士の考え方の相違はその辺にあるのだろう。真犯人と鶴見の過去の出来事が絡むことで、鶴見の『思い込みの激しさ』が浮き出てしまう点は、まだまだ若い。介護と愛の身代わり・・真実は残酷なのだ。次回では蘭子との仲も気になる。事件も恋愛もスッキリとお願いしたい。2017/04/29
モルク
54
鶴見弁護士シリーズ。殺人罪での13年の刑期を終え出所した石出、しかし祖母の介護をしてくれて連絡をずっととりあっていた寿美子が、石出の部屋で殺害され石出は容疑を否認するも全て石出に不利な状況であり逮捕される。そしてその弁護をする鶴見。諦めず真実を突き詰めていく鶴見弁護士だが、今回は少し強引すぎる雰囲気。そして18年前の北海道でのひき逃げ事件との繋がりもうまくいきすぎて唐突な感じ。さらに結果オーライとは言え、まかり間違えば冤罪名誉毀損に成りうる勇み足。全てが急ぎ足で進んでいた。まあ、面白かったんだけどね。2017/10/23
ちゃんみー
40
小杉健治さんの作品が好きです。ミステリーだからという訳じゃなく、皆が人間味溢れる存在で描かれているからなんです。そして今回でいうと、こおろぎ橋や山中節といった風情ある風景や唄が出てくるからなんです。18年前、13年前と今回の事件とがオーバーラップした形で真実を炙り出していくところ、冤罪事件や鶴見弁護士と蘭ちゃん先生のなんとも言えない恋心を端々に織り交ぜているあたりは、さすが小杉健治さん!と言いたい。2018/09/04
ぱなお
30
貰い本。鶴見弁護士シリーズ。前回も思ったことだけど、やっぱり鶴見弁護士の推理通りに進みすぎる感が拭えない。しかも今回は全く根拠がない上に、最後は「えーーーー!?」何でそうなるよ!と心の中で突っ込んだ。呆気ない。。。「真犯人を告発して被告人の無罪を勝ち取ろうとする弁護が正義か邪道か」TVドラマなら有りなんでしょうね。2021/04/11
Western
14
「逆転」とうより鶴見弁護士の「執念」といった感じが強かった。最後は自白でおしまい?あっけないし、加害者の性格を考えると納得しずらい。 同僚の蘭子さんといい雰囲気ではあるがその後の作品でこの関係も成就してないのが悲しい。 弁護士が憶測で犯人を指名するのは邪道?憶測はだめだがそこの証拠をあつめて「逆転」むざいというストーリーは他にもいっぱいあったように思う。 この作品の頃には後に登場する調査員はまだいなかったのかな? 出生の秘密を解き明かす筋立てはこの作者の得意技? 2022/10/27