内容説明
ホーフマンスタール、ゴットフリート・ベン、T.E.ヒューム、エズラ・パウンドといった、オーストリア、ドイツ、イギリスにおける20世紀初頭の代表的なモダニズム詩人をとりあげ、彼らの芸術運動の核心にある、(もっとも政治的イデオロギーと関連がないように思われる)「形式(ゲシュタルト)」に迫りながら、「芸術」と「政治」の多義的な関係を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きつね
9
モダニズム詩人らがいかにして詩の美学を全体政治の理論へと繋げていったのか。その論理的アクロバットの跳躍板を「形姿(ゲシュタルト)」概念に見定め、ホーフマンスタール、ゴットフリート・ベン、T・E・ヒューム、エズラ・パウンドの言説を分析した本。彼らの背後に浮かび上がるのは、「通俗化」されながらも巨大な霊感源とされたニーチェである。論の運びは説得的であり、ゲシュタルト概念も魅力的なテーマだ。門外漢のため事例など興味深く読んだ。他方、詩人の詩論を字義通り真に受けすぎの感もある。詩論はある種のマニフェストのようなも2013/11/28