『失われた時を求めて』交響する小説

著者名：牛場暁夫【著】

慶應義塾大学出版会（2017/05発売）

• ISBN：9784766418606

内容説明

20世紀を代表する長篇小説『失われた時を求めて』は、超俗的な審美主義者が描いたものではない、とするプルースト論。いくつかのモチーフが音楽のように反復され変奏されつつ語られてゆく。主人公は自らの歌を交響楽のように変奏し、詩と批評とユーモアを含む精神の饗宴の世界に読者を招いていく。読後にも読者にさらに新たな展開を促していこうとしたプルーストと交響する作品を、【著】者はリアルに読み解いていく。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ラウリスタ～]

割と軽めの本。研究書というよりも、一般向けか。とはいえ、プルーストに限らず１９世紀末から２０世紀初頭にかけての文学潮流に興味がある人には、少なからぬヒントが含まれているように思う。粗野な召使フランソワーズが、その料理の腕前と手法によって語り手に創作の秘儀を教えていた、なんていう章は面白い。

2015/07/28