内容説明
七分の真面目、三分の気まま――。僕はこうして生きてきた。作家渡世四十年、文学の達人が語る人生処方箋。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
85
この方の紡ぐ言葉が好きだなぁと感じます。純文学作家として40年歩んできた文学の達人が語る人生折々の想い。右に倣えと言われれば揃って右に倣う時代、いかに自分を大切にし、色気を持って歩むべきかを教えられたようでした。緊張感が緩んでいるような空気が漂う現在は年を重ねるのが難しく、年をとるにしかすぎないのも何とも言えないですね。それにしても作家生活40年という時間の中で文学賞を受賞しておられないのが意外です。2016/11/12
yumiha
23
古井由吉からの聞き書きをまとめた本なので、意外にも読みやすい。近代化とともに、密閉された家屋へと変わるにつれ、バラバラの個人としての意識が強くなり、そして、その分色気なるものが弱くなってしまったようだ。そういう流れの中で「草食系」とやらを捉えると、妙に納得できる。しかし、昔はよかった式の繰り言ではないかという懸念も持った。2010/05/07
アマヤドリ
17
踊り手としてもっと色気のことを考えるといいよ、とアドバイスをいただいてそれからずっと色気のことを考えている。セクシーという意味じゃなくて表現者としての色気。読んで、たくさん得るものがあった。再確認と新しいヒントと、いましめみたいなこと。小さな諦めと、ではどうする?のようなことも。2011/07/02
ちゃっぴー
15
語ったことを編集してるので、読みやすい。ちゃんとした年のとり方や、団地が普及したことによってエロスがなくなってきたことなど豊富な人生経験から語られる言葉は説得力があり、どれも興味深く読んだ。「わからないけど引き込まれるのはいい作品という証拠でしょう」「自分の中にないはずの何かに触れ、共鳴することも本を読む功徳でしょう」に深く共感した。2020/03/12
Ichiro Toda
10
最近挑戦してみたいと思っている作家さんなのでまずはエッセイからと手にとった一冊。一層小説を手にとって見たいと思わせるような話が多くあり、本当に小説についてよく考えて向き合っているんだなあと感じた。世の中の仕組みや病理などをそういう視点から、そしてそういう方法論ですくいとるのかと終始勉強になりっぱなしではあった。こちらの知識が少ないため一部の章はあまり理解できなかったのは残念だが、それでも大変興味深く読めた。多分入門としては適切だったんだと思いたいです。2015/10/21