内容説明
帆を張れ、碇を上げよ、針路は未知の最果て。
万能の源・エルにより圧倒的な文明と栄華を誇っていた世界があった。
しかし突如にしてエルが消失し、同時に陸地のほとんどが水没。かつての技術も失われ、全ての権力は唯一の陸地リエスを治める聖王家が握った。
リエスから追われた人々は寄り集まり、『船団国家』を形成し、海で生活を送るようになる。親王派のアレム、中立派のファシェン、急進派のザレグの3国家が海上権を巡り航行していた。
そんな中、リエスで突如政変が。聖王の弟が反旗を翻し、王位を簒奪。策略によって故郷を追われた聖王家の末姫・サリューは、父王から謎の海図を託され命からがら逃げのびる。
その先で彼女が出会ったのは、海に生き自由と未知を求める船乗り・カーシュ。『不沈』の異名を持つ彼に、サリューはある取引を持ちかける。
「わたしを、この海図が示す場所に連れていって」
航海へ出た二人は様々な思惑を乗り越え、人々がまだ見ぬ『新天地』への手がかりを掴むことになる。
『騙王』の秋目人がガガガ文庫に参戦!イラストは『ベン・トー』や『神殺しの英雄と七つの誓約』の柴乃櫂人! 海を漂い、最果てに想いを馳せる海洋戦記ファンタジー、出航!
※「ガ報」付き!
※ガガガ10周年電子特典!シリーズ既刊すべてのカバーイラスト付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
73
ライトノベルではあまり見かけない、海のロマンを描いた作品。簡潔ながらも堂々たる筆致だし、海洋冒険小説としても臨場感を出していて読ませる。ライトノベル的にもファンタジックな世界観が作り込まれて興味が引っ張られる。中盤以降、エピソードの語り口が散漫になった印象で、求心力が削がれるのが少しだけ残念。しかし一冊の本としては上手くまとまっており、充実したものが読めたように思う。出来うればシリーズ化されて、この作品世界を主人公ら一行とさらに彷徨ってみたいが今後どうか?無理に恋愛沙汰を盛らない姿勢も、好きなんだがな。2017/08/30
まりも
48
「不沈」の異名を持つ船乗りと政変を命からがら逃げ延びた王家の末姫が出会う事で動き出す海洋ファンタジー物語。うむ、面白い。世界のほとんどが水没してしまった世界を舞台にした自由と冒険のロマン溢れる海洋ファンタジーですね。カーシャ達船員とサリュー。最初はギクシャクしながらも船での旅を通じて絆を深めていく姿や、サリューを救い出すために船団国家相手に立ち向かうシーンは中々に熱く、ラストまで楽しませてもらいました。新天地へ向けた出航への期待を感じさせる終わり方も非常に良かったです。続きが出たら読んでみたいな。2017/05/20
よっち
41
万能の源エルが消失し陸地のほとんどが水没した世界。唯一の陸地リエスを治める聖王家を追われた少女サリューと、陸地を追われた人々の船団国家にも属さない船乗り・カーシュが出会う物語。サリューを救い依頼を手伝うことになった船長・カーシュたち。共に過ごすうちに絆が育まれ、彼女の抱える秘密を知ったことで彼らも巻き込まれてゆく王道展開でしたが、諦めずに船団国家相手の駆け引きで協力を引き出し、救出に向かう彼らの戦いはなかなか痛快でした。すっきりとした結末でしたけど、新天地に向かう旅の続編があるならまた読んでみたいですね。2017/05/18
サケ太
30
海洋冒険ファンタジー!なかなか海が舞台のラノベは少ない印象。唯一の陸地を持つ聖地リエス、その周囲の海に浮かぶ船団国家が存在する世界。夢を抱く『星屑号』の船長、不法船乗りカーシュが出逢ったのは、父の遺言を果たすために『船の墓場』へ向かおうとする少女サリュー。頼もしい副船長オットー、船員ワッツ。彼らの騒がしく、大変な冒険の日々。そして父の遺した秘密。迫る魔の手。超面白かった!この作者の新作を待ち望んでいたから大満足。次なる冒険も楽しみ。2017/06/01
七月せら
28
唯一の陸地リエスを除き、全てが水没してしまった世界。どの船団国家にも属さない不法船や、海底から引き揚げられる旧時代の遺物、遥かな大地を夢見る人々。海洋冒険ファンタジーは自由で夢があって楽しい。普段のどこか抜けた態度と裏腹に格好良い時は格好良い船長カーシュ。あんなに心細そうでトゲトゲの子ハリネズミみたいだったサリューが、カーシュ達との航海を通じて心身共に成長していく姿も良かった。彼らの冒険は始まったばかり。続きも楽しみです。クリオーフ!2017/06/11