- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「天皇機関説」事件は、この学説を主張する憲法学者の美濃部達吉への、天皇を崇拝する退役軍人や右派政治家の攻撃が発端となっている。1935年2月に始まり、約半年にわたる「機関説」排撃運動の中で、美濃部に対する政治的な弾圧が行われただけでなく、言論や学問の自由も奪われ、立憲主義が事実上停止した。その結果、「権力の暴走」を止める安全装置が失われ、日本は破局的な戦争へと突き進む。この事件は、社会がどのように「壊れて」いくのかを物語る昭和史の重要な分岐点である。現在の政治・社会状況との類似点の多さに戦慄が走る……! 【目次】はじめに/第一章 政治的攻撃の標的となった美濃部達吉/第二章 「天皇機関説」とは何か/第三章 美濃部を憎んだ軍人と右派の政治活動家/第四章 「国体明徴運動」と日本礼賛思想の隆盛/第五章 「天皇機関説」の排撃で失われたもの/あとがき/「天皇機関説事件」に関する年表/参考文献
目次
はじめに
第一章 政治的攻撃の標的となった美濃部達吉
第二章 「天皇機関説」とは何か
第三章 美濃部を憎んだ軍人と右派の政治活動家
第四章 「国体明徴運動」と日本礼賛思想の隆盛
第五章 「天皇機関説」の排撃で失われたもの
あとがき
「天皇機関説事件」に関する年表
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
94
1935年、憲法学者、美濃部達吉の天皇機関説が文脈を無視して揚げ足取りのように攻撃された事件。 それがダイレクトに二・二六事件につながる。 さらに太平洋戦争へ。 日本の立憲主義の暗転の原点か。2020/12/10
rico
87
名前だけ覚えた「天皇機関説」。何が起こったのか知りたくて読んけど、正直、この理論のどこが問題なのかわからない。排撃する側は「けしからん」と言ってるだけで、美濃部の理路整然とした反論とは全く噛み合ってないし。でも執拗で組織的な攻撃は成功。わずかな期間で「立憲主義」は完全崩壊、日本は二・ニ六を経て「国体護持」を錦の御旗の下、絶望的な戦いへと突き進むことに。後から見れば、ここがその分岐点。ブレーキは踏むべき時に踏まないと取り返しがつかない。最近もこんな展開あったような。歴史に学ぶということは、多分こういうこと。2023/08/08
hatayan
52
日本が軍国主義に進むきっかけとなった1935年の「天皇機関説事件」。国家を法人として天皇を最高の機関と考える美濃部達吉の思想は合理的なものでしたが、天皇を崇拝する右翼、軍人に国家に殉ずる大義を与えたい軍部にとって個人主義を認める美濃部は攻撃の対象となりました。美濃部が煽動的なイデオローグの蓑田胸喜に次第に追い詰められ、天皇機関説を扱う本は発禁処分に。皇道派を勢いづかせ翌年の2.26事件につながります。戦前を懐古する日本会議が発言力を持つ2020年代と1930年代が地続きになっている感を強くさせる一冊です。2021/01/26
seki
49
天皇機関説事件について分かりやすく、深く掘り下げた意欲作。事件が大きな政治的、社会的問題であったことを知る。説を唱えた美濃部博士は、国家は法人であり、天皇は国家の頂点として君臨しているとする。対して、博士を攻撃する人達は、天皇は国家を超越した存在であり、国家の機関とするのは甚だ無礼と主張する。科学的理論としては博士の方に分があるのだが、時代は博士を舞台から降ろしてしまう。それからの日本は2.26事件、第二次大戦へと進む。科学的理論が暴力に負けたときの恐ろしさ。今の日本は大丈夫だろうか。2020/01/12
おかむら
46
天皇機関説から国体明徴運動までの流れ、日本が戦争まっしぐらに進むきっかけともなる重要事件を学べます。「機関」とか「明徴」とかなんか難しくて萎えそうな用語なのでだいぶ怯みましたが、一般人向けにわかりやすく当時の国会答弁、政府の対応、右翼軍人マスコミの動き等時系列に沿って解説、今とビミョーに重なる部分が多くてグイグイ読めた。理性より感情に訴える感じ、なんか安倍さんぽい。怖いな。そして今でも「国体(くにがら)」とか言ってる連中、日本会議一派のことですが、どうかしてるぜと改めて思わされます。2017/06/09
-
- 電子書籍
- 剣逆蒼穹【タテヨミ】第240話 pic…
-
- 電子書籍
- 社長パパが追っかけてくる【タテヨミ】第…
-
- 電子書籍
- 転生して暴君を調教しました【タテヨミ】…
-
- 電子書籍
- 継母の連れ子が元カノだった【分冊版】 …
-
- 電子書籍
- 花が咲く頃 お婿にどうぞ。【マイクロ】…