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内容説明
本書は国際政治史のなかでジャズが果たした特異な機能を考察し、ジャズが国際政治と共振しながら織りあげた歴史の実像に迫ります。戦争、冷戦、デタント、平和運動、イデオロギー、民主化、脱植民地化、人種、異文化対話といった、アメリカ内外の政治的ダイナミズムが交錯するところにジャズはあり、それを問うことはジャズとアメリカとの関係を脱構築することになるでしょう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
8
アメリカの音楽外交を軸に、ジャズの国際的な広がりを描いた一冊。人種統合を謳うアメリカ文化の典型としての面と、抑圧された黒人の奏でる人種差別の象徴としての面。この二面性が、ジャズ大使を送り出すアメリカ側と受け取る東側各国の双方にとってジャズを政治的なものへと浮上させる。ジャズの表象する「自由」が、アメリカ国内だけではなく世界にどのような影響を与えたかがわかる良書。また「余りに予測不可能」とジャズ大使から外される帝王マイルスや、より「危険」なものとしてロックの影がちらついているところなども面白い。2019/11/22
吃逆堂
2
アメリカによるジャズの国際政治利用と、各国の政治面でのジャズ抑圧・受容の歴史。むろん、人種の問題も。ジャズを聴くこと、演奏することが、これほどまで政治性を帯びた行いだった時代があったとは。サッチモやデュークはやはりキーパーソンとなるが、一方で帝王マイルスの影が薄いなど、視角によって見えてくる歴史もまったく違う。2019/05/16
takao
1
ニクソン大統領はデューク・エリントンの誕生日に自由勲章を与えた。彼は、4つの自由を語った。憎むことからの無条件の自由、自己を哀れむことからの自由、自分ではなく他人を利してしまわないかと悩むことからの自由、仲間より自分が優れていると感じさせるようなプライドからの自由2017/11/04
アーク
1
ジャズの発祥地であるニューオーリンズも含めて、現在はジャズって世界的に下火だけど、ロックが世界を席巻する前はジャズが外交カードに使われるほど商品力を持っていたことが分かるな。Louis ArmstrongやNat King Coleも赤坂にあった有名クラブ、ニュー・ラテン・クォーターに呼ばれていたことからもよく分かる。ただし、有名どころのジャズミュージシャンやその歴史についてある程度知らないと取っつきにくい本かも。その分勉強にはなるけどね。2017/06/22
uchiboha
0
正直難しい部分や、よくわからない部分もあり、今一つ頭に入らないという印象もあった。 ただ、他の国から敬意を集めるためには、物質的な豊かさではなく、文化的な豊かさが必要になるという言葉は、すごく納得できた。 もう一回読みたい。けど長いので迷う。機会があれば。2020/04/01