ちくま学芸文庫<br> 社会学的想像力

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ちくま学芸文庫
社会学的想像力

  • ISBN:9784480097811

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内容説明

社会学を学ぶ意味とは何だろうか? たとえば、社会の変化が私たちの日常にどう影響するか、あるいは、日々遭遇する困難を根本的に解決するにはどうすればよいか。それを適切に考えるためには、日常を社会や歴史と関連づけて捉える知性が欠かせない。社会学的想像力と呼ばれるこの知性こそ、社会学の最大の効用である。だが、当の社会学者も理論や調査に夢中になるあまり、そのことを忘れつつある──こうした現状を鋭く批判し、社会学的想像力を鍛える学としての意義を高らかに謳いあげる重要古典。今日でも全米の大学で最も多く用いられている社会学文献である本書を、みずみずしい新訳で送る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえぽん

45
「パワーエリート」で有名な著者による米国等の英語圏で社会学初学者向け指定文献とされる書。原著初版は65年前だが、今も社会科学系の諸学を学ぶ姿勢を説く基本書として十分通用する。パーソンズらの「グランド・セオリー」や、ラザースフェルドらの「抽象化された経験主義」を酷評し、個人史と歴史との結びつきの発見を助けるため、官僚制的組織の歯車としての科学者ではなく、独立した研究を行う職人たれとする。特定の生活圏・時代を超えて、歴史を作る覚悟で、自由と理性という理想に従って世界を再編成せよとの示唆は実務家にとっても重い。2024/08/16

壱萬参仟縁

40
1959年初出。社会構造という概念を知り、感性豊かに用いることで、様々な生活圏の結びつきを明らかにすることができるのが、社会学的想像力をもつということ(029頁)。現代は不安と無関心の時代である(030頁)との指摘は、半世紀経過してもなお、色褪せないと実感される。テロとアパシーだ。著者の信念は、社会学的想像力が、文化的な生の主要な公分母となり、顕著な特徴を現すものとなりつつある点(035頁)。本書の目的:現代の文化的使命に対して社会科学がどのような意味をもつかをはっきりさせること(042頁)。2017/05/27

たばかる

15
体系的に社会学をまとめるというより切り口を大きくして批判や検討を向けること、に主眼を置いている。研究を研究たらしめるために必要な態度や思考の経路を身をもって示しているのか。後半からどんどん啓蒙書ぽく感じさせるものはあったが、無論感情的に説き伏せようという意図は皆目なくいい指針にはなると言えそう。2020/05/03

しょうじ@創作「熾火」執筆中。

14
【1回目】59年原著刊。過度の普遍性を目指す「グランドセオリー」、微細な調査データの積み重ねを強調する「抽象化された経験主義」のいずれもが、「自由と民主」の観点からすると、官僚化された体制内存在になってしまっていることを批判し、「社会と個人史との結びつきを強調(訳者解説)」し、粘り強く概念の積み重ねを説く。。20世紀アメリカのみならず、社会学全般の古典中の古典。あと何度読めば理解できるだろう。学部生時代に、恩師と共に読んでみたかった。2017/05/08

富士さん

9
社会科学が科学という名前によりかかって歴史や他者との有機的な関係に思いをはせることをしなくなったことに対する痛烈な批判書です。ただ、単なる科学信仰への批判なら、本丸である自然科学に対したクーンやファイアアーベントなどよりは切実さに乏しいように感じますが、本書の価値はそれと同時に、世界が理想と違っても、自分が理想的に生きることで世界を変える、というような実際の行動へのメッセージを発しているところだと思います。この点が相互作用に縛られた社会科学独自の批判精神なのであって、社会学的想像力の発露なのだと感じます。2018/03/31

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