内容説明
CIAの要職にあったジム・ニコルソンはなぜロシアに寝返ったのか? 逮捕後、いかにして息子ネイサンを抱き込み、売国行為を再開したのか? 全米を震撼させた親子の半生を丹念に追うことで米ロ諜報戦の実態を浮かび上がらせる、犯罪ノンフィクションの力作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
92
CIAだったジム・ニコルソンは貧困から抜け出すため、二重スパイとしてロシアにアメリカの情報を売っていた。そして父は獄中から息子に仕事の代理を頼んできた。ジムの妻、ローラや子供達に対する態度や事あるごとにネイサンの生き方に口を出してくる父方の従兄弟達の他者を自分の思い通りに支配しようとする意思性があり、吐き気がする。だからこそ、貧困や上手く、世渡りできない自分へのコンプレックスや父親への思慕から言葉巧みに父に言い含められて国を裏切ることになったネイサンが余りにも気の毒だ。彼には幸せになって欲しいと願うばかり2017/10/03
Willie the Wildcat
59
スパイの現実の一端。CIAとFBIがジムを追い詰める過程は、007張りで臨場感に溢れる。但し、問われた罪の是非は司法が判断も、家族の観点では正直複雑な心境。親子の信頼関係は否定せずも、その信頼の根底が人間(親)の欲。法律の意味はもちろんだが、人として、親としての”義”は誰が問うのだろうか、と考えてしまう。一方、問題の本質は、貧困や格差などの社会問題。唯々、ネイサンの人生の方向性が、本人にとっても満足のいくものとなることを祈るのみ。2018/02/26
BLACK無糖好き
19
元CIA局員ジム・ニコルソンが、ロシアに機密情報を売り渡した罪で服役中に獄中から末の息子を操り、再びロシアに接触を図り情報を売っていた事件の顛末を描いた作品。身内のスパイを監視するCIAとFBIの合同作戦の様子は緊迫感があった。国家を裏切る行為に対しての罪悪感と目の前にある金銭的問題や家族の関係がテーマの本筋かもしれないが、元国家対情報局長のミシェル・ヴァン・クリーヴによる、"ロシアのスパイの数は冷戦時代の規模に劣らないどころか、それ以上かもしれない"との指摘は、プーチンの戦略が垣間見える重要なポイント。2017/07/16
kawa
14
米国を裏切ってロシアの為にスパイ行為をした元CIA局員は、その罪を問われた獄中から、末の息子を操りさらに不正行為を重ねる。その動きに気付いた捜査機関は、秘密裏に親子の動向を探る。まるでスパイ小説を読むような波乱万丈な展開。ノンフィクションなので表現的に冗長と感じてしまう部分もあるが、充分楽しめる。スパイが祖国を裏切った動機は、経済的な困窮のようだが、命を掛けて働く彼らの待遇が意外に充分でないことには驚き。2017/07/16
ケニオミ
11
FBIかCIAか忘れましたが、米国人の友達が面接を受けたときの話です。家族にお金がないと入所は難しいと言っていたのを鮮明に覚えています。二重スパイになる動機の第一位が金銭面での充足だと考えれば頷けます。本書は、この動機で二重スパイになり、捕まって服役中に息子をスパイに仕立てた男とその息子の話です。捕まれば売国奴の烙印を押されてしまうことを、自ら体験しているにも拘らず、息子にも売国奴になる道を歩ませた父親とは一体いかなる人物なのか興味深かったです。口で言うように本当に息子を愛しているのか甚だ疑問でした。2017/07/07
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