国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ

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国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ

  • ISBN:9784799317563

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内容説明

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歴史を自然科学のように研究することはできるだろうか?
 本書の著者、ピーター・ターチンは、歴史×数学という新しい枠組みで、この問いへの回答を試みる。このようなアプローチの重要性を示すことからはじめ(1章 取り組むべき課題・問題を明らかにする)、数学の簡単な紹介の後(2章 地政学)、歴史文献の圧倒的なレビューと精緻なモデル化で理論の検証を行う。

 まずは「地政学」である。国境線や国家の置かれた地形によって国家の興亡を説明できるだろうか? 社会学的な記述を数式に落とし込んで分析した結果、国家の興亡が繰り返されてきた過去の歴史を再現するには何かが足りないことが示唆された(3章 集合的連帯)。
 そこで注目したのが記号的に区分された集団(エトニー)が連帯して行動を起こす力である。これをもとに、メタエトニー辺境理論という新たな理論を提案する(4章 メタエトニー辺境理論)。これを実際の歴史と照らし合わせることで、高い説明力を持つ理論であることが確認された(5章 メタエトニー辺境理論の実証検証)。

 次に、記号的に区分された集団であるエトニーがいかにして形成されるかを考察するために「民族運動学」を展開する。これは、ある民族がいかにして帝国に取り込まれるか、あるいは新たな宗教に改宗するかといったことを説明するための理論である。複数のモデルを作成し、それを実データと対比することで、自分の周囲の人の動向に歩調を揃える「自己触媒モデル」の説明力が高いことが示された(6章 民族運動学)。

 そして、人口と国家の動態とを結びつける「人口構造理論」を展開する。人口をエリートと農民の2階級に分けて考えることで、エリートのふるまいが国家の衰退に対して強い影響をあたえることが明らかとなった(7章 人口構造理論)。また、この「人口構造理論」から、長期にわたる人口の増減が歴史上普遍的な流れであることが示唆され、再び実データと対比することによってその傾向を確認した(8章 永年サイクル)。

 本書のしめくくりとして、ここまでに築きあげた理論を用いて、フランスとロシアの歴史を紐解いていく。ここで作り上げた3つの理論が、両国家の歴史をみごとに描くことが示されると同時に、理論の改善すべき点も示唆された(9章 ケーススタディ)。

 最後に、本書の全体を振り返るとともに、この新しい研究分野を「動的経済史」と呼ぶことが提案される(10章 結論)。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

18
面白い試みだなあと感じますが、数式やグラフがモデル化といえるレベルなのかについては疑問を感じます。しかし個々の話は理解できない部分はありながら興味深い内容でした。2024/03/26

mash

4
数式で把握するのは絶対無理だろっていう領域にまで数理モデルを利用している内容です。集団の凝集性が国家の基盤となり、成長すると今度はその辺境で別の集団が凝集性を伸ばし、前の国家を飲み込んでいく。このモデル化がもし大体合ってるなら人の動きも学習させれば数式化できるのかな

溝旗昌吉

2
本書は言葉の上での仮説を数理モデルに変換し、どのモデルがデータと一番適合するか検証するという自然科学と同じアプローチで歴史動態を研究する試みを紹介している。本書で紹介されモデル化され実証された仮説には、集団行動を行う能力(アサビーヤ)が帝国の辺境で増大して帝国の中心部で減少することで辺境から新しい帝国が生まれるという仮説(メタエトニー辺境理論)、被支配民族が支配民族に同化するとき支配民族の宗教や言語が個人から個人へ社会的ネットワークを通じて拡散するという仮説(民族運動学の自己触媒モデル)、2017/03/12

お〜

1
unlimited2021/02/14

くらーく

0
いろいろと数式化していますが。。。分かりません。普遍的かもしれませんし、過去の事例がたまたま合う式にもっていったかもしれませんし。 ディープラーニングさせたい気もしますな。2016/04/09

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