まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

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まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

  • 著者名:見田宗介【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 河出書房新社(2017/05発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309244587

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内容説明

日本中を震撼させた連続射殺事件を手がかりに、60~70年代の日本社会の階級構造と、それを支える個人の生の実存的意味を浮き彫りにした名論考。現代社会論必携の書。解説・大澤真幸

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

37
解説を書いた大澤真幸が『不可能性の時代』で「理想の時代」と「虚構の時代」の結節点として永山則夫にかなり詳細に言及していましたが、そもそも著者の仕事から着想を得ており、本書はその一部ということになります。ノンフィクションの様にもなっており、惹き付けられます。哲学風にいうと、彼は時代精神を代表しているということになるでしょうか。ある調査で60年代に上京してきた若者たちがひとりになりたかったのは、否応なく田舎者性を暴く他者からの「まなざし」に耐えられなかったからであり、皆が持っていたそこから逃れる衝動がたまたま2021/03/26

たばかる

20
1968年の少年N•Nによる連続銃殺事件を社会学的に分析する。貧困の環境と家族•地域の希薄なつながりを振り切って上京してきた少年は、自分を階級闘争の枠組みで見てくる他人の目線を、振り払うことができなかったという。当時の地方出身者への直接調査などのデータ分析を踏まえた論理は、60年代の世相を浮き彫りにする。また、大澤真幸による解説では90年代の連続殺人との対比も行われる。そちらでは他者の目は、自分を捉えないため個人を透明な存在にしているようだ。個人化が進んだ社会で他者の目への向き合い方が問われている。2020/06/04

りょうみや

19
田舎から上京した後に連続殺人を犯した少年について社会学的に考察されている。物語としても読める内容。「まなざし」は服装や学歴など表面的な属性によってレッテル付する都会での人の見方となるだろうか。人物像と事件についての著者の鋭い捉え方と分析から、社会学の考え方の力を改めて思い知らされる。まさに副題の「尽きなく生きる」ために社会学は役に立つ。巻末の大澤真幸氏の長い解説が、分かりやすく本書の内容を補足・拡張してくれている。2019/09/10

かんがく

14
最近読んだ本に立て続けに出てきたので。農村から出てきた青年が連続殺人犯になるまでを描く。彼が東京をどのように捉え、東京が彼をどのように捉えたか。2021/02/28

またの名

11
見た目や服装や出生や肩書きという表相性により人間を規定してくる都市のまなざしに対し、逆手に取ってフェイクな表相を演技したと著者が分析する連続射殺事件の、犯人N・N。だが著者によれば、この演技こそが都市の求める主体形成そのもの。「私には目的がなかったと世間では言っている。しかし私から観ればあった。あなた達へのしかえしのために、私は青春を賭けた。それは世間全般への報復としてでもある」と書いたNは、死刑執行までの間に自分の罪と過去と社会を考え続ける。それすら長い時間の中で言語化能力を身につけて初めて可能だった。2019/05/30

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