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内容説明
もし現在の世界三大料理を選ぶとすると、どの国が入るだろうか。歴史性や影響力を考えると、フランス料理と中国料理はやはり外せない。では、純粋に日常的な料理としては世界で二番目にユネスコの無形文化遺産に登録された日本料理はどうだろうか。食材の内部の味覚を引き出す「引き算の美学」、油脂をあまり使わず健康的であること、そして季節や色彩にもこまやかに心を配る「おもてなしの心」。日本料理のこうした特徴がいま世界中から注目を浴びている。佐村河内守氏を巡るスクープで大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞した著者が、フランス料理、中国料理、日本料理それぞれの本質に迫る。フランス料理編の監修をつとめるのは、日本人として初めてパリで一つ星を獲得した中村勝宏氏。中国料理編では中国語の原典から中国料理を研究する山本豊氏が、貴重な経験に基づき知見を披露する。最後の日本料理編は辻調理師専門学校の辻芳樹校長にご協力いただいた。美食の真髄を知るためには必読の一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寝落ち6段
6
仏・中料理の特徴と歴史を顧みながら、和食の価値を考える。世界戦略のためのフランス料理、広大な土地と多彩さの中国料理、どちらも地の利に適っているし、国民性も反映されているようだ。日本は、豊富な食料に恵まれている。海の幸、山の幸は世界でも驚くほど種類がある。鰹や昆布出汁をベースとして、食材本来の味を引き出す。日本では、多くの国の料理を食べられる。他国の料理をアレンジすることに関してはすごいと思う。最後に、食文化の多様性について示されていた。自国の文化を学び、多文化を認めることが世界平和の道となるはずだ。2019/08/05
丸太
5
後進であったフランス料理が政治・文化の国家戦略(中華主義:笑)により、世界料理に成リ得たのが分かった。中華料理は火の料理、も納得だが、巨大な人口を養う広大で肥沃な領土のお蔭かも。日本料理は本当に三席に入ったのかな、だったら素直に嬉しい。日本料理の最大の特徴は清潔さに在り、と言うのも分かる気がする。なお、この本は、料理を美味しそうに描いてはいないので、胃袋は反応しない。2016/02/15
Junichi Kitazawa
2
うーん、神山さんの本はこれまで楽しかったのだが2018/12/27
qsan
2
日本料理を三大料理に入れたのはそれなりの理屈があり、日本人としては異論はないのだけれど、その日本料理の解説内容が途中から給食の話にいってしまったのは何だかな~という感じで、物足りなさが残りました。2014/10/13
Masahiro Tanaka
1
国家戦略として体系化されたフレンチ、広大な大地と人々の智慧がもたらした中華、そして自然と人間が一体となって育まれた日本料理。それぞれ、世界三大料理とされるべき素晴らしい料理です。一方、本書の内容は、それぞれの料理に関する解説の構成が料理によって異なっており、消化不良気味。ちゃんと書こうとするとそれぞれで一冊の本になってしまうというのはわかるけれど…。フランス料理は国家戦略としての発展、中華は日本での本格中華の発展、日本料理は給食の話、と若干ピンぼけしているように感じられました。2014/10/13