内容説明
被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る! 伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
858
7つの短篇を収録。それらは本来は独立したものだったようだが、単行本化に際して並べてみると「緩やかに繋がりができ」た「不思議な本」に。最後に置かれた「合コンの話」には、連作短篇的な繋がりを持たせようとした節も伺える。全体としては円環を結ぶこともなく(当然か)どこか宙に浮いたような奇妙な味わい。「いじめ」、「暴力」、「仕返し」(復讐というほどには情念的ではない)が全体に通底するテーマのようでもある。そして、飼育するクワガタを眺める神のごとき視点で書かれたのが本書か。その軽さは作家自身が神ならぬ身故であろうか。2017/07/27
カメ吉
415
色んな話の短編集。最後はどっかで繋がってる構成で面白い作品でした。『僕の舟』がよかった。奧さんの天然さと探偵のクールさが面白かったし結末が出来過ぎで…。2017/03/20
ehirano1
409
連続短編かと思ったらそうではなかった・・・・・。著者にしてはちとパンチが弱いように感じましたが、それでも最後まで読ませるのは流石だと思いました。ローレンツの「攻撃-悪の自然誌」は早速注文しました。2019/05/18
mae.dat
351
首折り男の大藪さんや、個人的に超お久し振りの黒澤さん等々が駆け廻りながら、緩やかに繋がる短篇7篇。確かにね、1話1話の主人公の所作が光り、交響曲では無くて、協奏曲を成していますね。ラストも然り( ¨̮ )。一話毎にちょっとした仕掛けも仕掛けられていて、凝っているね。伊坂さんの技が施されているよ。時空を歪ませてみせたり、時には俯瞰から又は局所的に描いてみせたり。流石っす(๑•̀ㅂ•́)و✧。風変わりな『合コンの話』の中の「――おしぼりサインに関する、よくある質問」がいいね。実践的で( ໊๑˃̶͈⌔˂̶͈)。2023/10/20
しんたろー
314
お得意の殺し屋が出てくる話、チョッと素敵な恋話、不思議な話、ゾッとする話、コメディっぽい話など、伊坂さんの才能が詰まった短編集。それぞれの話には関連があったりなかったりだし、アッと驚くドンデン返しがある訳でもない… なので「伏線の回収」や「繋がり」を強く求めるミステリファンには物足りないようだが「こういうのも書けますが、いかが?」と伊坂さんから問いかけが聴こえ、新しい手法への挑戦も感じた。会話の妙は健在だし名言も散りばめられていて伊坂ワールドは相変わらず楽しく、特に『僕の舟』と『合コンの話』が好きだった。2017/10/02