内容説明
エンジンメーカーで超音速エンジンプロジェクトが始動。本庄たち開発チームの奮闘で、国産初のアフターバーナーエンジンは最終の燃焼試験を迎えた。だが、試験終了直前に爆発が生じ、若手技術者が死亡。本庄は左遷され、プロジェクトは中止となる。チームは爆発原因を突き止めようと独自の調査を……。数々の妨害工作を叡智で乗り越え、エンジン完成のため死力を尽くす誇り高き技術者たちの熱き闘い。
目次
第一章 競合開発の行方
第二章 技術者の矜持
第三章 再起への挑戦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒瀬
92
本屋さんで平積みされていたのをたまたま手に取ったら予想以上に面白かったです。ただ、工業関係や航空機産業のことを全く知らないという人は面白さが3割ほど減ってしまうかも。 自前のアフターバーナー開発中に起きた事故により失われた若い命。それにより開発は凍結。おまけに事故原因を究明しようとしたらさまざまな妨害が……。それでも本庄たちは事故の原因を突き止め、国産初のアフターバーナーを世に出そうと尽力する。モノづくりに奮闘する方たちのお話は油や鉄の匂いが漂ってきそうで燃えます。2017/04/29
to boy
31
国産初のアフターバーナー付きジェットエンジンを開発しようとする技術者。会社としては米国製エンジンのライセンス生産のほうがリスクが少なく確実に利益を得られるということで社内での争い。ビジネス小説としては少し物足りないですが、新しい技術に挑戦していく技術者を描いた気持ちの良い話。ライセンス生産はなぜこの図面になったのか何も考えずただ作るだけだが、自主開発した図面は試作する人も、なぜこの仕様なのかと考えながら製作するというところが「なるほど」と思いました。2017/05/21
JACK
26
☆ 航空機用エンジンメーカー岩見沢原動機が国産初の超音速エンジン開発に着手した。しかし、強力な推進力を産み出すアフターバーナーの試験中に事故が起こり、技術者が命を落としてしまう。プロジェクトマネージャーの阪下は部下の本庄に事故の責任を押し付け、プロジェクトは中止。チームは爆発の原因を突き止めようとするが、様々な妨害工作が彼らの行く手を阻むのだった。エンジン完成に挑む技術者たちの執念の物語。理不尽な仕打ちに対する怒りと、仲間を失った悲しみ、プロジェクトが成功した時の喜び。力強く爽快な物語でした。オススメ。2018/01/12
宇宙猫
23
★ 会社の方向性の違いは単純な善悪で割り切れるものじゃないはずで、お仕事小説としてもストーリーが陳腐。技術的な説明を減らして人間関係をもっと書き込めば良いのに。2017/05/26
まいど
6
下町生まれなだけに「下町ロケット」を読んだ時には「バカな!何が下町の零細企業だ!」と思った記憶がある。 あの時はロケットだが今回は戦闘機のエンジン、どちらも途方も無いお金がなければ作り出すことは出来ない。 下町の町工場の友は、そんな現状に目もくれずロケットや人工衛星の部品を作り出している。 ダイナミックな話ではあるがぼくは友の町工場の方が好きだ。ドラマがあるじゃないか。 話としては面白い一冊だが庶民なせいかどうも現実味に欠ける話でした。2017/05/18