内容説明
『源氏物語』はイギリスでどのように読まれているのか。芥川が人気作家になった理由とは。書店はどうあるべきか。小説論から芸術、風俗、ファッションの歴史までを軽妙な筆致で描き出す。世界中の人々に支持され続けた文学作品の楽しみ方、読書の快楽がここにある。作家、翻訳家、評論家として半世紀以上に亘って執筆、研究を続けた知の巨人が、その叡智を未来に託した最後のエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
16
丸谷さんの死後編集されて出版された。評論・エッセイ・文庫解説・書評など、以前刊行された単行本未収録のものを中心に編まれた<文集>。丸谷さんのエッセイは親しい人たちとおしゃべりしているようだ。丸谷さんが日々面白がっていることを洒脱に、そして、読むと楽しいことをひとつ発見したように思わせてくれるように書かれている。私小説に批判的だった人だけに、身辺の些末なことに終始するようなエッセイはない。何冊も刊行された<文集>に一冊でも多く手を伸ばしたくなる。2017/08/06
Ribes triste
13
批評文、追悼文、書評から挨拶文まで、丸谷さんの多岐に渡る活動がまとめられた1冊でした。旧かなづかいながら、名調子で読みやすい文体が好きでした。丸谷さんの交友録に登場する文豪たちのこぼれ話は、読んでいて楽しい。2020/02/20
呼戯人
12
丸谷才一の亡くなった後に出されたエッセイ集。軽妙洒脱な文章のリズム。豊富な話題。快楽としての読書や快楽としての書くことの楽しさがしみじみと伝わってくる。enjoymentとしての文学という美的な感覚が洗練されていて心地よい。一言でいえば、趣味の良さがそこはかとなく漂ってくる。こんな美的感覚、こんな趣味の良さを身に着けることができたらどんなにか楽しいことだろう。私は、哲学のような生硬なものを愛してきたので、とても軽妙洒脱とはいかないのが悔しい。2017/04/14
でんすけ
4
こういう文壇周辺のヨイショ感、トモダチ感はは嫌いだけど、故人を偲ぶにはいい構成。なによりも読みやすく幅ひろい知識に裏打ちされた文章が、心地よい。そういえば「持ち重りする薔薇の花」、丸谷才一小説のなかでは格段に面白く読めたと改めて思った。2017/08/12
しんこい
4
エッセイやら挨拶、解説とかを集めた本。それが文春でなく集英社から出るのがちょっと不思議。読んでる途中で、何か他の本とシンクロしたのですが、何だったか。ともあれ亡くなったのはやはり残念。2017/06/03