内容説明
“てんぷら屋に行くときは腹をすかして行って、親の敵にでも会ったように、揚げるそばからかぶりつくようにして食べていかなきゃ”「通のたしなみ」より。―料理人が喜ぶ意外な食べ方から、小鍋だて、白魚の卵落とし、鯛茶漬、小鰭の新子等々、旬の味を堪能する料理まで。食通作家をうならせた酒肴のメニューと人生の折々に出会った忘れられない味。本当の通のたしなみを知る食道楽による名エッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
101
久しぶりに池波さんのエッセイを読んだ。一部既読のエッセイもあったが食に対して真摯に向き合う姿勢に共感した。昭和の男の茶目っ気たっぷりのダンディズムを感じます。2019/10/28
honyomuhito
84
メシテロみたいな池波正太郎の酒肴エッセイ選集。美味しそうなものしか出てこない。鯛の刺身をやるときは生醤油へ良い酒を少し落し、濃く入れた熱い煎茶に塩をひとつまみ入れて吸い物がわりにして御飯。春先には蛤にウドをあしらった塩味の吸い物。時は刻々と移い変わっていく。人は生まれながらに死に向かいつつ、生きていくために食べなければならないという矛盾を抱えている以上、せめてうまく(旨く)死にたいということですよね池波先生!https://chirakattahondana.com/江戸前-通の歳時記/2019/04/11
ちゃとら
79
お腹が空いてくる、シンプルだけどとても美味しそうな本でした。池波正太郎さんの多くの作品はテレビで拝見して本を読んだのは初でした。食通だとは知っていたけれど(曽祖母が亡くなった時、貯めていた貰った駄賃で、上野松坂屋にビーフステーキを食べに行った。)凄い子供😱通の食べ方で、作り手の食べて欲しいタイミングを描いてましたが、カウンター席で、握り鮨を乾かしながらスマホいじってる人を見ると、なんだかな〜と思います😅💦2019/09/01
k5
70
江戸力強化月間②。読んでいる間じゅう生唾が止まらない圧倒的な筆力です。正直、小説よりも面白かったかも。池波正太郎が小学校を出てすぐに株式仲買人のところで働きはじめたのは有名な話ですが、その年齢で金を惜しまず銀座でうまいものを食べようというセンスがかっこいい。また、お母さんやお祖父さんのエピソードもしみじみいいです。2022/05/04
くぅ
55
出産後の一冊目。これしきの厚さの文庫になんと20日くらいも費やした(笑)でも、美味しい話と古きよき時代の話が盛りだくさんで忙しい日々の中、気が休まりほっこりとした気持ちになれた。そんな貴重な時間を20日かけて満喫したと考えよう♪過去のエッセイから文字通り美味しいところを切りとった一冊。久々に深川・門仲あたりに繰り出して深川飯が食べたくなっちゃった。あとはやっぱり小鍋だてと湯豆腐に冷奴。高級食材を惜しげなく盛りだくさんにしたメニューより、旬の食材を素材の味をいかして頂くのが贅沢だと感じた。2017/05/30