内容説明
年上の部下と年下の上司、単身赴任先での浮気、領収書のごまかし、人事異動の内示、お偉いさんとの気づまりな会話――。サラリーマンにとって決して避けて通れない身近なテーマ。喜劇と悲劇がつねに紙一重という、綱渡り的会社員生活の日常に潜む、思いもかけない恐怖をリアルに描く。身につまされる笑いのあとに、背筋も凍る戦慄、読みだしたら止まらない興奮の5編。ブラックな会社ミステリー。
目次
ま、いいじゃないですか一杯くらい
あなた、浮気したでしょ
それは経費で落とそう
どうだ、メシでも食わんか
専務、おはようございます
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
168
吉村達也さんの世の中のサラリーマン戦士の皆さんにとって誠に身につまされるブラック&シリアスなジャパニーズ・ビジネスマン・ミステリ短編集です。自分が悪くて自業自得なのは当然の事として自分は無実なのに不幸が襲い掛かったりもする「サラリーマンはつらいよ」な5つの物語ですね。でも徹底的に深刻でなく何処か緩くて笑えちゃうのが著者のライト感覚な持ち味の良さで常に安心して楽しめますよね。初め3つはクビに逮捕に離婚と人生の敗残者の道まっしぐらですが、それにも増して残り2つは死の影が漂う絶体絶命の運命なのが誠に不憫ですね。2019/12/28
mr.lupin
65
サラリーマンのちょっとブラックかかった5編からなる短編集。『ま、いいじゃないですか一杯くらい』『あなた、浮気したでしょ』『それは経費で落とそう』『どうだ、メシでも食わんか』『専務、おはようございます』 どれもこれもありそうなフレーズに秘められた題材で納得の面白さでした。でも、もし自分の身に降り掛かったら怖い話。 ☆☆☆☆☆2018/05/06
にいにい
55
「これは経費でおちません」に対抗して、出版されたのだと思っていたら、ずっと前に書かれた吉村達也さんの作品。吉村さんは、多くの作品を残されているけど、読むのは初めて。本作は、サラリーマンを主人公にした5篇のちょっとブラックでミステリー風な短編集。各タイトルも、会社内でよく使われるフレーズで、そこから、面白い着想で、ささやかなブラックが味わえる。 文体も好きだな。たまにはこういうのも悪くない。「どうだ、メシでも食わんか」が一番だったかな。2017/08/02
のんちゃん
46
サラリーマンを主人公にした会社ミステリー。短編5作収録。タイトルを見てお仕事小説と思い込み、読み始めたが、これがなかなかのブラックエンドのミステリーだった。お話の舞台が1990年代なので、少々古い感じは否めないが、ストーリーはサラリーマンの哀感を挟みながらも、時にクスッと笑わせて、最後はゾクっとさせて、エンド、と飽きさせない。面白い作家さんに出会えたが、すでに故人と知って、残された作品を楽しみにしたいと思った。2018/07/04
ユウユウ
43
古い方の単行本を図書館で借りて一話だけ読みました。少し内容に古めかしさはありますが、結構面白そうなので、今度はこの文庫本で手に入れて続きを読みたいと思います。2018/07/24