岩波新書<br> 文庫解説ワンダーランド

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岩波新書
文庫解説ワンダーランド

  • 著者名:斎藤美奈子
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2017/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316411

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内容説明

基本はオマケ,だが,人はしばしばオマケのためにモノを買う.マルクス,漱石,松本清張.『武士道』『なんクリ』『永遠の0』──古典名作にベストセラーがずらりと揃う文庫本,その巻末の「解説」は,読み出すとどうにも止められないワンダーランドだった! 痛快きわまりない「解説の解説」が,幾多の文庫に新たな命を吹き込む.

目次

目  次
   序にかえて──本文よりエキサイティングな解説があってもいいじゃない

 Ⅰ あの名作に、この解説

 1 夏目漱石『坊っちゃん』四国の外で勃発していた解説の攻防戦

 2 川端康成『伊豆の踊子』『雪国』伊豆で迷って、雪国で遭難しそう

 3 太宰治『走れメロス』走るメロスと、メロスを見ない解説陣

 4 林芙美子『放浪記』放浪するテキスト、追跡する解説

 5 高村光太郎『智恵子抄』愛の詩集の陰に編者の思惑あり

 Ⅱ 異文化よ、こんにちは

 6 サガン『悲しみよ こんにちは』/カポーティ『ティファニーで朝食を』翻訳者、パリとニューヨークに旅行中

 7 チャンドラー『ロング・グッドバイ』/フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』ゲイテイストをめぐる解説の冒険

 8 シェイクスピア『ハムレット』英文学か演劇か、それが問題だ

 9 バーネット『小公女』少女小説(の解説)を舐めないで

 10 伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』おしゃれ系舶来文化の正しいプレゼンター

 11 新渡戸稲造『武士道』/山本常朝『葉隠』憂国の士が憧れるサムライの心得

 Ⅲ なんとなく、知識人

 12 庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』/田中康夫『なんとなく、クリスタル』ン十年後の逆転劇に気をつけて

 13 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』/マルクス『資本論』レジェンドが鎧を脱ぎ捨てたら

 14 柴田翔『されど われらが日々──』/島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』サヨクが散って、日が暮れて

 15 小林秀雄『モオツァルト・無常という事』試験に出るアンタッチャブルな評論家

 16 小林秀雄『xへの手紙』/吉本隆明『共同幻想論』空からコバヒデが降ってくる

 17 夏目漱石『三四郎』/武者小路実篤『友情』悩める青年の源流を訪ねて

 Ⅳ 教えて、現代文学

 18 村上龍『限りなく透明に近いブルー』『半島を出よ』限りなくファウルに近いレビュー

 19 松本清張『点と線』『ゼロの焦点』トリックの破綻を解説刑事が見破った

 20 赤川次郎「三毛猫ホームズ」シリーズ私をミステリーの世界に連れてって

 21 渡辺淳一『ひとひらの雪』解説という名の「もてなし」術

 22 竹山道雄『ビルマの竪琴』/壺井栄『二十四の瞳』/原民喜『夏の花』彼と彼女と「私」の戦争

 23 野坂昭如『火垂るの墓』/妹尾河童『少年h』/百田尚樹『永遠の0』軍国少年と零戦が復活する日
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

482
斎藤美奈子は初読。普段はほとんど文庫の解説を読まないのだけれど、こうしてあらためて俎上に乗せられてみると、たしかに簡便な批評であり、そこには様々なスタイルがあることがわかる。そして、それと同時に一定の様式もまた見えてくるようだ。斎藤美奈子の語りは口語調で、軽快。しかもスッパリとした鮮やかな切れ味も。その語りは爽快でもある。各章の分類は概ね適格だが、最後の「教えて、現代文学」だけは無理やりにここに収めたようで統一感がなくて残念。しかし、彼女にかかれば小林秀雄大先生もバッサリ。それはそれで痛快でもある。2020/05/22

zero1

141
【解説は作品の奴隷じゃない】は名言!解説は何のため?読者を悩ます解説もあれば、作品に関係ないことも。本書が興味深いのは解説の比較。「坊っちゃん」は「敗者の文学」という意見に「神様のカルテ」で知られる夏川草介が反発。作家と研究者の違いが明白に。これは「権威と庶民の違い」と斎藤は述べる。「三四郎」の美禰子は誰が好きだった?明言を避けると「ずるい」の声が。海外の作品は「訳者あとがき」で解説も兼ねる。「国語は道徳」「文学に教訓はいらない」など斎藤らしい意見も多い。戦争関連作品は大いに学べる点あり(後述)。2019/10/03

takaC

120
解説の分類など気にはしない。おまけ付きなのかどうかというのが重要。当たり外れがあるのもまた一興。2017/10/30

KAZOO

119
この内容については岩波の雑誌「図書」で読んでいましたが、この本でまとめて読むと印象が異なりました。ひとつの文庫文化論のような感じです。文庫にはあとがきや解説があったりまるっきりないものもあります。ここではその解説についての評論あるいは解説ということでの実例を挙げてかなり言いたいことをおっしゃっています。楽しめました。2021/09/19

マエダ

101
自分的には解説やあとがきは大切に読んでいる。なかなか切れ味鋭い解説批評。もう少し多めに見てもいいのでは、と少しフォローしたいところもある。2017/04/25

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