内容説明
陸上自衛隊カウンセラーが明かす完全復帰までの克明レポート。自殺衝動から遺書まで書いたJ君は、どうやって「うつ地獄」から生還したのか。厳しい環境のなかでうつ状態になった隊員のリハビリを行ってきた経験から、うつからの脱出を当事者と支援者(家族・医師・カウンセラー)の共同作戦と考える。目標は9つの関門突破だ。各関門を突破しながら「長いけれど必ず治る」戦い方を指南。だから、あなたのうつも必ず治る!
目次
はじめに
プロローグ あるクライアントとの出会い
第1の関門 “休む”という決心をする──自分の弱さを認める戦い
第2の関門 医療への不信感を乗り越える──人を信頼する不安との戦い
第3の関門 家族や職場の理解を得る──自分の中に潜む周囲への甘えとの戦い
第4の関門 無意識の恐怖との戦い──“休む”という新たな行動を実行する
第5の関門 復職への恐怖との戦い──勇気を出して自分の状態をうちあける
第6の関門 知覚できない疲労との戦い──客観的なデータで休養をとる
第7の関門 早く治りたいという焦りとの戦い──うつの波を実感する
第8の関門 リハビリ中期の大きな落ち込み──悩みと直面し、受け入れる
第9の関門 リハビリ後期の自殺衝動の嵐──死にたい気持ちを上手にやり過ごす
エピローグ 9つの関門を突破したJ君
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
太田青磁
24
自分のことをわかってもらうための努力を粘り強く続ける・短歌・俳句・川柳、絵画、写真、散歩、ヨガ、呼吸法、つりなどのように、お年寄りでも十分に楽しめるものが多い・うつ状態とは、本質的には疲労であること・直線的ではなく、小波や大波を繰り返しながら徐々に回復していくこと・感じられない疲れを予測して活動をやめる・時間という単位でコントロールする・休みすぎと感じるぐらいのゆっくりしたペースを維持する・うつのリハビリ期は、常に手持ちのエネルギーを百パーセント、あるいはそれ以上使って、ようやく普通の社会生活を送れる状態2014/08/06
わん子
14
何度目かの再読。うつとはもう長年付き合ってまた再発しちまいましたが、この本、うつの身には読む度に違う発見がある(認知の歪みか?)。わたしには、第4,6,7,8,9の関門が時間軸問わず交互に訪れているように思った。2021/04/29
くろまによん
8
うつ病からの回復プロセスを解説している。著者自身もうつ病経験者だけあって、単なる研究者では書けない部分までしっかりとわかりやすく言及してくれていた。自動思考という言葉が新鮮だった。2014/05/14
ぴーたん
3
鬱になってからの回復をどうしたら良いのか書かれている本。J君の職場復帰を例に、9つの関門を乗り越えるための具体的なカウンセリングと方法がわかりやすかったです。最後の9つ目の関門が一番厳しいんですね。グラフにして描かれているのでとてもわかり易かったです。発症から休職、復活してからも波は続き2年近くかかっています。長いけれど、必ず治るという著者の励ましが読んでいて元気をもらえました。2014/06/24
とろめし
3
グラフがわかりやすい!と思った。カウンセラーの方も大変だと感じた。ただ辛い病気という印象だったが、復活に向けての波があり、そのことについて学べたので良かった。2012/12/09