内容説明
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。読後、きっとこのタイトルに涙する。デビュー作にして2016年本屋大賞・堂々の第2位に輝いた話題作、待望の文庫化。累計250万部突破のベストセラー!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
1204
一気に読了。単なる闘病物語にすることなく、桜良を、視点人物さながら、はしゃぐ姿を描くなど、さまざまな点で読者を裏切ってくれます。もちろん250ページをすぎたあたりでの、まさかの展開には衝撃でした。少しでもあった予定調和を一気につきくずすようなストーリー。このあたりが現代の小説としての、パターン破りの難しいところなんでしょうか? ラストのあり方は本当にこれでよかったのか。事実(小説)は小説(ありがちの)よりも、つねに先を行くのかもしれません。2017/08/17
海猫
1153
一般文芸とライトノベルの中間のようなテイスト。基本よくある難病ものではあるが、悲劇性を強調して盛り上げようとしない姿勢にまず好感。定番をなぞりつつも微妙にズラしてくる展開なので興味が持続するし、驚愕する瞬間もあった。膵臓が悪いといってもはっきりした病名を言及しない、人物が匿名的といったリアリズムに焦点を合わせない書きようが効果的。内向的な少年を行動的な少女が引っ張り回すというライトノベル風の仕掛けもまた楽しい。対照的な性格の男女が影響しあって変化していく「成長」がテーマのお話なので前向きで爽やかな読後感。2017/05/14
Atsushi
868
不治の病に侵された女子高生「桜良」と物語の語り部である同級生の男の子の物語。二人が交わすウィットに富んだ会話が何とも絶妙。思わぬ形で桜良は命を落とすが、「共病文庫」に書き残した彼女の本当の心のうちには涙した。病室で桜良が言った「きっと誰かと心を通わせること。そのものを指して、生きるって呼ぶんだよ」の一言が心に響いた。自分も一日を大事にしよう。タイトルからは内容が想像出来なかったが、良作であることに間違いなし。2017/06/16
さばかん
850
覇道を往く、難病余命一年物語。 ありがちな、余命一年御涙頂戴。 それがこんなに話題になったのは、まさにタイトルにある通り、『君の膵臓を食べたい』の一言に集約される。 これは、読めば分かる。そう、読めば分かるのだ。読まなきゃ分からない。読んで理解しろ。読み終えて震えろ。 「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」 「生存戦略、しましょうか」2017/05/26
せ~や
770
僕にとって「生きる」ってどういう事だろう?「存在する」ってどういう事だろう?きっと「誰かがそばにいてくれる事」と答えるんだろうな。恋人とか友達とか、そんなんではなく、どんな関係性であれ、その「誰か」がいてくれる事。そしてそれはきっと、自分が昔から望み続けたものなんだろうな。人は何をもって、そこに「自分」が「存在」してると言えるんだろう?今、いろんな人たちがそばにいてくれる。それはきっと、今まで僕が僕として、選んできた道の上にあるんだろうな。2017/08/22