内容説明
確実に死ぬには死刑が一番だ。できるだけ多くの人を殺そう――。2008年茨城県土浦市で9人を殺傷した金川真大。「完全勝利」と言い残し2013年絞首刑に。享年29。「殺人は悪じゃない」と嘯き、ひたすら死刑を求めた男。死は彼の望み通りと分かっていても尚、極刑を願う遺族の苦悩。面会を重ね、葛藤する記者たち。何が彼を凶悪犯罪に走らせたか。死刑制度の意味を問う驚愕のドキュメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
76
死刑、死刑囚、被害者…物凄く考えてしまい何を言えば良いのかわからなくなります。死刑になりたくて殺人を犯した金川氏。彼独自の思想や哲学により無惨な殺人を犯した。どこかで誰かの力で止められなかったのか、変えられなかったのか。父の人格が金川氏に似ているけれど、父のせいとも一概には言えず、家族が砂漠状態な家はいくらでもあるだろうし死刑囚になるような育て方をしたとも思えません。亡くなった人たちは何が起こったかわからないまま、ご遺族も永遠に納得がいかないと思います。言葉になりませんが多くの人に薦めたいです。2018/02/21
扉のこちら側
58
2016年1004冊め。「死刑になってもいい」と、結果的に死刑になるのも辞さない犯罪者とは違う。「自殺をするのが怖いから、確実に人に殺してもらえる死刑のために」と殺人事件を犯した彼。2008年の事件から、死刑執行までの4年9ヵ月という期間は、彼には全く反省をもたらす時間にはならなかった。死刑を望む者にとっての死刑執行は罰とはなりえなかったという最初の事例。もし自分が裁判員になった場合、一体どうしたらいいというのだ。 2016/11/21
hanchyan@つまりはそういうことだ
44
いわゆる「無敵の人」について知りたいと思ってて「祝福に満ちたフィクションに出会ったら次にコレ読もう」と決めてた本書。この死刑囚は、「結果がどうなろうがまあいいや」ではなく積極的な(実に忌まわしい)動機を有しているという点で、どうやら「無敵の人」の上を行っていたようだ。解説も含めて、諸々と首肯できる分析や解釈が興味深い。個人的には、「社会生活におけるロールプレイ」の中での「役割」ということについて考えさせられた。非常に重い読書となったが、読んで良かった。次は、また何か祝福に満ちたフィクションを読もう。2018/10/14
hatayan
32
死刑になるために2人を殺めた24歳の金川真大青年。 反省の色を見せず、裁判でも挑戦的な態度に終始。 新聞記者である筆者は30回以上面会を重ねて罪の意識を呼び起こそうとしますが、説得には至らず本人の望みどおりに死刑が執行されます。 青年の常軌を逸した態度や思想は気持ち悪ささえ催すものです。しかし、青年の家庭の環境は会話がない冷え切ったもので、就職に失敗した些細な躓きから孤立し、独善的な考えを深めていった経緯がありました。 死刑を望んで殺人を犯した場合、刑罰は有効に働くのか、答えは容易に出そうにありません。2018/12/24
つみかた
30
この事件の動機に繋がった「子どものための哲学対話」を読んだが、なぜこれで犯人ような心理になったのか。「ページをめくり、目に留まった文章の字面だけを読んで、解釈したつもりになったのか?」と思うくらい、犯人の解釈が薄さを感じた。 結局、親の無責任さが犯人の稚拙な哲学じみた考えに繋がり、この事件を生んでしまったと思えてならない。 しかしこの「死刑のための殺人」という本は、誰も救われない本だ。もちろん被害者やその遺族もだが、著者も犯人もその家族もだ。それだけに、この本から学ばなければいけない義務感を感じた。2017/07/08
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