内容説明
時は幕末。わずか25歳で老中に就任した阿部正弘を待ち受けていたのは、黒船はじめ、度重なる外国船の来航、強大な欧米列強に対する攘夷派の強硬論、逼迫する財政、高まる内政不安だった。一刻の猶予もないなか、外交・国防問題に奔走し、思うように進まない国論の統一に正弘は煩悶する。人材を登用し、後進を育て、新しい時代を切り拓こうと、常に時代の先端を走り抜けた男の熱き人生を描く、著者初の本格歴史時代小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
18
9阿部正弘は外国の対応する為に広く意見を求めた事で幕府を弱体化させた人物という印象でしたが、日本と外国との実力差を知り敗戦後ではどんな屈辱的な条約を結ばされるかを見抜き多少屈辱的でもマシな平和的な条約を結ぶためにギリギリな細い道を通りペリーに対応していたかが良く分かりました。まさにこの時この人でないとというベストのタイミングで登場した才人だったと思う。史実の人物を小説にする為に闇丸を登場させたのにあまり活躍していないのが残念、もう少し活躍させたらもっと面白くなったと思う2023/01/23
niisun
16
江戸庶民の人情モノを多く世に出してきた今井氏。本作は珍しく江戸幕閣を主人公にした偉人伝。江戸の改革と言えば、吉宗の享保、松平の寛政、水野の天保が有名ですが、これは江戸最後の改革になる安政の改革を行った阿部正弘の話。ペリー来航、日米、日英、日露の和親条約締結を攘夷論渦巻く政局の中で、自論を抑え、しかも、永きにわたって続いた徳川独裁の政体を合議の下に変革しながら実現した手腕を読み応えのある物語に仕上げています♪特に攘夷派筆頭の水戸斉昭との駆引きは面白かった!昨年末に亡くなられ、新たな作品が読めないが残念です。2018/01/10
onasu
15
江戸後期、天保の改革の失敗から、井伊直弼か登場するまでの十数年、幕府の老中首座にあって、ペリー来航、日米和親条約の締結等を取り仕切った阿部正弘。 幕府方のこの後の動きは、凡そこの人に端を発したと言っても過言ではなく、若くして亡くなったためか、あまり俎上には昇らないが、幕末でも第一級の人物だ。 開国にあたっては、諸侯のみならず庶民にまで回答を求める先見性があったが、それが元で幕末の混乱が生じたとも。 20代で老中首座まで上り詰めたのは、英明さの他に何があったのかなど、もう少し物語性が欲しかったかな。2017/07/13
はにこ
10
尊皇攘夷の話はいくつか読んだが、幕府開国側の話は初めて読んだ。外国という長いものに巻かれていたという印象だったが、無駄な戦争を避けながら日本がいかに不利にならないかをギリギリのところで手を尽くしていたのだなぁと思った。攘夷派、開国派それぞれの信念を持って日本を守ろうとしていたんだなぁ。2020/05/03
デニーロ88
4
×阿部正弘の物語 激動の幕末、老中として教科書にでていた。 詳細物語で、ただ淡々と。闇丸が全く絡まずいまいち。2024/10/19