内容説明
サーファーの集う砂浜を離れ、キムはハコと名乗る少女を車の助手席に乗せて、海辺の一軒家に来た。キッチンの冷蔵庫から取り出した1本のウォッカには、ある想いが込められていた(表題作)。
彼はある歌をきっかけに、傷心を抱いた男女が集う酒場のことを知った。東京から1キロ以上離れた地にあるというその酒場を、彼は訪ね歩くのだが……(「二杯目のジンフィズ」)。
それぞれの酒、それぞれの時間、そしてそれぞれの人生。
街で、旅先で聞こえてくる大人の囁きをリリカルに綴ったとっておきの掌編小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
58
知らないところに迷い込んだような短篇集。どの物語も静かにドラマが始まる感じ。機内誌に掲載されていたそうだ。人の数だけ心の旅がある。喜び、悲しみ…いろんなことを経験できる心の旅がこの中に詰まっているような気がする。ちょっと鞄に入れて出かけたい一冊。2017/04/14
ラムネ
5
もう何年も飛行機に乗ってない。好きではないから。 妻や娘は上空から見る景色の美しさから、 飛行機が苦にならないどころかむしろ好んでさえいる。 飛行機に乗っている時間は、 人によっては生きた心地がしない冷や汗の永遠であり、 他の人にとっては天国のような極上な刹那である。 その時間の有り様によって、 この本の感想も変わってくるのかもしれない。 飛行機機関紙に掲載の洒脱な短篇集。2017/08/13
鮎川まどか@AnxAn
5
お気に入りは「家族」「記念日」「懐中時計」「自画像」。 ラジオドラマのような、22編の小品たち。 どこか懐かしさが漂う心地よさ、そして時に意外な展開で読者を魅了してくれる。 傑作。2011/09/17
Garyo1000
5
美意識が心地よかった。
烏鹿
5
22編の短編集。個人的には「懐中時計」と「一年の反対側」が気に入った。1編約10ページ、軽く読むには丁度いい長さ。初大沢在昌だったのだが、ここから入って果たして良かったのだろうか?2010/02/16