祥伝社文庫<br> 愚者の毒

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祥伝社文庫
愚者の毒

  • 著者名:宇佐美まこと
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 祥伝社(2017/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784396342623

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内容説明

一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さんつきくん

340
物語の組み立て方が秀逸でとても面白かった。過去と高級老人ホームに入所する現代を行き来する。第一章は1985年、葉子と希美が出会い、旧家の家政婦として働くことになった葉子。葉子は借金と失語症の甥っ子を抱えていた。第二章は舞台を1965年の九州の筑豊に移し、炭鉱住宅での極貧ぶりを描く。廃退的で救いようがない描写はがっつり読んだことはないけれどプロレタリア文学の臭いがした。第三章では第二章を踏まえて第一章の出来事の真実に迫る描写が秀逸でした。毒をもって毒を征す。日本推理作家協会賞受賞作2017/10/12

こうじ

310
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎4/5 面白かったよ(*^_^*)すごーく重い小説!辛く、切なく、悲しい感じがあり、中盤から引き込まれてしまった。昔も色々と大変だったんだなぁと感じ、また、今も今で大変だなぁっと^_^本当に衝撃的な作品だったよ^_^2016/12/10

しんたろー

300
宇佐美さん3冊目。生年月日が同じ希美と葉子、二人の視点が交互に描かれ、哀しい過去と不穏な現在が解き明かされてゆく形式なので、全く飽きることなく読み進められる。 東野圭吾さんの『白夜行』と松本清張さん『砂の器』をミックスしたかのような物語だが、その2作には登場しない素敵な善人や恐ろしいサイコパスを加味しているので、著者らしい人物造形と人間愛さえも感じる。何よりも、過酷な運命に抗うように必死に生きる人たちが切なく愛おしい。「凄い!」と唸るドンデン返しはないが、骨太の人間ドラマ&ミステリとして素直に称賛したい!2018/05/07

Kazuko Ohta

293
読むのに体力が要ると聞いていましたが、重量級。職安の初歩的ミスで知り合った2人の女性。これまで人づきあいを避けてきた彼女たちが無二の親友に。不穏な空気を漂わせながらも第1章はまだ平和。第2章以降は本当にキツイ。登場人物の名前のせいなのか、なぜか読んでいるあいだじゅう、山崎ハコの『織江の唄』が頭の中を流れていました。内容はまるで違うのに、どん底感が一緒。誰が誰なのかは予想がついたからその点に驚きはないけれど、綿々と続く過去の描写が辛すぎて、なのに読まずにいられません。生きることは苦しい。それでも生きてゆく。2018/02/06

うっちー

257
運命とは過酷なものです2018/11/16

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