内容説明
化繊会社社員の乗村は、ようやく渉外課長の椅子をつかむ。が、仕事は外国人バイヤーに女を抱かせ、闇ドルを扱うことだった。やがて彼は、外為法違反で逮捕されることに。ロッキード事件を彷彿させる話題作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
33
商社内の派閥争いに利用され、会社の犠牲になってしまう社員の物語。50年前の作品だが、当時の商社ってこんなブラックだったのかとびっくりする。こうまで黒いと、いまならマスコミにボコボコにされてしまうところだ。タイトルの「危険な椅子」とは、会社でのポストのこと。たいていのサラリーマンならば飛びつきたくなる椅子だ。しかし乗村は、ビジネスマンならば椅子ではなく、仕事に飛びつくべき。こだわるべきはポストではなくビジネスだという。いったんは会社に突き落とされ、谷底から這い上がってきた乗村の言葉だからこそ、重みがある。2022/04/18