内容説明
質屋の三浦屋六兵衛が、離れで出刃包丁により惨殺された。三浦屋にとっては、娘の佐代が旗本の惣領との婚礼を間近に控えた折の惨事だった。南町奉行所臨時廻り同心、天霧三之助は探索に乗り出す。六兵衛の遺体の不自然さに気づいた三之助は、下手人像を絞り込み、追い込んでいく。だがそんなさなかに、六兵衛が死んだ同じ離れで第二の刺殺事件が起きた。長篇時代ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サケ太
12
面白い時代ものミステリー。馬面でとぼけた男、天霧三之助。冴えない男が事件においては凄まじい冴えを見せて、犯人の嘘を、その真実を見事に見破る。犯人は最初に明かされるも、三之助の推理でその殺害理由や事件の裏に隠れた事実を暴き出す。展開や登場人物の会話もテンポ良く非常に読みやすい。キャラクターも面白いため、続編が出るならば読みたいと感じた。2017/04/20
nishiyan
11
時代小説では珍しい倒叙ミステリー。妻に先立たれた臨時廻り同心の天霧三之助と直心影流免許皆伝の腕前を持つ定町廻り同心の結城栄二郎のコンビが事件を解決していく。栄二郎の出戻りの姉であるお光や妻のおこうと三人の娘たち、行きつけの煮売り屋の父娘と二人の脇を固める脇役たちがなかなか面白い。そこがミステリーよりも時代小説に寄った印象を持たせるのだろう。事件そのものはすんなりと解決してしまうので拍子抜けしてしまうのだが、読後感は悪くない。シリーズ化されるのかしら。次が出るのなら読みたい。 2017/12/20
たかさん
7
倒叙ミステリーで時代物と言うので、 どんなものかと読んでみたが、とても 面白かった。 天霧三之助のキャラクターがすごくいい。 これは絶対シリーズ化して欲しい。2017/04/09
タツ フカガワ
5
初読みの誉田龍一本。冒頭からいきなり犯行が繰り広げられ犯人も判明する倒叙形式ミステリー。事件は南町奉行所の同心で刑事コロンボのようなキャラクターの天霧三之助が同僚の結城栄二郎と犯人を追い詰める。しかし小説世界になかなか入り込めないまま読了しました。残念。2018/02/17
よし
5
昨日、未来屋書店で本を探していたら、ミステリ評論家の千街晶之さんの本棚があり、この本をオススメされていたので購入し、読んでみました。これは面白い。時代倒叙ミステリーというのが良いですね。これはコロンボや古畑任三郎好きなら、夢中で読んでしまいます。好きでない方も面白い。何より三之助のキャラが立っています。馬面でとぼけた風貌かと思いきやその推理は鋭い。コンビを組む結城栄二郎もとってもいい引き立て役。三之助の推理力に 一目置いて、頼っている。最後のカタストロフィーが爽快この上なし。シリーズ化をお願いします。2017/07/06