内容説明
無秩序、無鉄砲、無制限。疾風のごとく駆け回り「韋駄天夫人」の名をほしいままにした白洲正子が、時に激しく、時に気さくに綴った26編。お能、骨董、名優への思い、自死した女友だちのこと、そして、白洲次郎、小林秀雄、吉田健一ら猛者たちと過ごした日々――。美しく儚い〈ほんもの〉に満ちた、白洲正子史上もっとも危険な随筆集! 没年に行なわれた阿川佐和子との対談も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
77
2016年1055冊め。サブタイトルの『白洲次郎のことなど』の『など』部分が大半で、広い交友関係から様々な著名人の一面が浮かび上がってくる。さすが伯爵家のお嬢さんで大正時代に14歳で米国留学という飛び抜けたお育ちであるからこその、その後の人生だったのだろう。2016/12/10
マエダ
53
青山二郎やら小林秀雄に近い人からみた視点が面白い。書き方もあるが白州次郎に対する愛みたいなものが良い。2018/06/16
ホークス
52
白洲正子(1998年没)の最も危険な随筆集とカバーにある。特に、自殺した女友達を偲んだ文を指すようだ。彼女と深い関係にあった作家たちを実名で出している。糾弾はしていない。著者の意図は、そんな世界があったと文章にする形で、友人を悼むことだろう。白洲正子は文人たちや夫の次郎と関わりながら、飛び跳ねているようにも見える。しかしアイドルではない。独特の厳しい眼力で美と歴史を探究した。友人を悼む作法と同じく、実在したものは静かに認め、世界と対峙した人間の勇気に目を向け、その精神を敬う。「白洲次郎のこと」が素晴らしい2020/09/18
うえぽん
47
韋駄天夫人と呼ばれた筆者による随筆集。白洲次郎の語録と伝記を読み、夫妻で戦火を逃れるために転居した武相荘を訪問する前に、妻の視点を知るため読んだもの。樺山資紀伯爵の孫娘として生まれ、子供の頃から能に親しみ、米国の高校を卒業後、18歳で次郎に一目惚れして結婚したが、作家や骨董屋との深い交友の中から、鋭い審美眼を持つ文筆家になった経緯を理解。随筆に登場する知人達と朝帰りを繰り返した様子からは、すれ違いの家族生活を想像させるが、自らをじゃじゃ馬、夫を弱虫毛虫と評している辺りに強い個性同士の深い信頼が表れている。2025/03/19
みち
18
白洲正子さんヤバイ人ですね。実名でこんな赤裸々に書いてしまって大丈夫なのかな??これを読んで、直木賞が胸糞悪くなってしまいました。生きた時代も違えば、住む世界も違う人達のお話。初めましての人達ばかりだし、、白洲さんの率直な物言い、ゴシップを読んでいる様な感覚で、なんだか読書中ずっとドキドキ、ワクワクでした。白洲さんが、周りにいる方々をとてもリスペクトしているのは良く分かりました。2025/05/09