内容説明
「独居老人」「孤独死」など、まるで「ひとり」が社会悪であるかのように世間は言う。が、人は所詮、ひとりで生まれ、ひとりで死ぬ。「孤独」と向き合うことで、より豊かな生を得ることができるのだ。親鸞、道元、日蓮、一遍など先達の生き様を振り返り、日本思想の源流ともいえる「ひとりの覚悟」に光を当てる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
34
生まれるときは一人。そして死ぬときも一人。孤独はあたりまえのことなのに現代社会は独りであるということにネガテイブなイメージを持ちすぎている。本来群れをなすということは生存するために有利だからそうして生きることを我々の遠い先祖が選択したというだけのことであって、生きることが容易い現代社会では無理に群れに加わる必要は皆無なんじゃないかと思えてくる。一人の哲学。独りであることの意味と意義。そうした確固とした何かを掴めたのなら生きることは楽になる。2018/05/06
かんちゃん
28
宗教学者のエッセイ。法然、親鸞、日蓮、道元、一遍……。日本を代表する聖人の「ひとり」の思想に思いを馳せる。日本思想史に疎い私には学術的なことはよくわからない。しかし、私も日本人。著者の呟くことは、肌ではわかる。あ〜、確かに日本ってそうだったね。なぜか郷愁を感じる。2017/02/12
団塊シニア
23
タイトルに惹かれ購入したが思いのほか読みにくい内容であった、というよりまとまりに欠けてる感じがした、ただあとがきに代えての部分で「さあ、これから死ぬか、と掛け声をかけ、そのままベッドにころがりこむ」というフレーズだけが印象に残った。2017/12/11
ねこさん
23
「ひとり」でいることの劣性のイメージに対するアンチテーゼのようだが、親鸞、道元、日蓮、法然、一遍らの足跡を追う紀行文であると共に、老境にある人が心情の遷移や睡魔の中に見える妄想を吐露していく、というより彼らの生きた時局に自己をチューニングしながら、善悪で計れない生のままならなさや揺らぎを整合出来ずに苛立っているようにも思え、「ひとり」を肯定する意志を示しつつも、虚無感を絡めとりながら死へと向かう矛盾にシンクロし、それらを親鸞という存在の仕方の極との位置関係に集約させていることに、内省を拒む頑なさを感じる。2017/12/07
はるゆき
13
ちょうど、「個」と「ひとり」って同じことをさしてるのかな?という話を知人としたところだったので、よかった。 そう言えばNHKの「AIに聞いてみた」的な番組で出てきたという、40代以上の独居についての話題もあったので、タイムリーな話題なんだと思う。山折さんのいちファンとしては、「あとがきに代えて」の内容を重要視したい。2017/08/27