内容説明
ころび伴天連(バテレン)の父と武士の娘である母を持ち、虚無をまとう孤高の剣士・眠狂四郎。彼は時に老中・水野忠邦の側頭役から依頼を受け、時に旅で訪れた土地で謎と遭遇して、数々の難事件を解決する名探偵でもあった。密室状態にある大名屋敷の湯殿で、奥女中が相次いで不可解な死を遂げる「湯殿の謎」。寝室で花嫁の首が刎ねられ、代りに罪人の首が継ぎ合せられていた「花嫁首」。偶然助太刀した武士の妻の仇討ちに隠された、意外な真相が明かされる「悪女仇討」。時代小説の大家が生み出した異色の名探偵が奇怪な事件に挑む、珠玉の21編を収録する。【収録作】「雛の首」「禁苑の怪」「悪魔祭」「千両箱異聞」「切腹心中」「皇后悪夢像」「湯殿の謎」「疑惑の棺」「妖異碓氷峠」「家康騒動」「毒と虚無僧」「謎の春雪」「からくり門」「芳香異変」「髑髏屋敷」「狂い部屋」「恋慕幽霊」「美女放心」「消えた兇器」「花嫁首」「悪女仇討」/編者解説=末國善己
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
117
週刊誌に毎号独立したアイデアの短編を何年も書き継ぐのは、想像を絶する労苦だったろう。眠狂四郎という魅力的な主人公を創造し、読者を飽かせぬドラマを描けたからこそ歓迎されたのであり、時代小説の枠を超えた面白さだ。1回20枚弱の短さで起承転結がはっきりしており、特に伏線の張り方は短編ミステリの見本と思えるほど鮮やか。クイーンの名作に対抗できる「からくり門」や、大がかりな首のすげ替えトリックを展開する表題作などは、当時の推理作家協会賞に短編部門があれば受賞していたかも。改めてシバレンの小説づくりの巧さに感服する。2022/06/20
HANA
59
時代小説のダークヒーローとして、あまりにも有名な眠狂四朗。その作品中からミステリ要素の濃いものを集めたアンソロジー集である。純粋なミステリとして読むと色々穴がある設定の物も多いが、エロやグロ、主人公の虚無的な雰囲気に古き良き昭和のミステリが垣間見えて、読んでいて嬉しくなってしまう。屋敷に近づくものが死に絶える「髑髏屋敷」とか初夜の花嫁の首がすげ変わる「花嫁首」とか、雰囲気が最高。ただ選集なので時系列が良くわからない部分も多くて……いつの間にかヒロイン死んでたりするし。「無頼控」等に食指を延ばすべきなのか。2017/07/11
geshi
30
孤高で虚無をまといながら女にモテるダークヒーロー眠狂四郎のカッコよさに引き付けられる。連作シリーズの中から抜き出したせいで繋がりが分からない部分はあるにせよ、面白く読み飛ばせる。『悪魔祭』ダークヒーローのミステリアスな部分をあえて晒してでも因果を描くか。『湯殿の謎』エロチックを謎解きに入れられるのは通俗小説の強みだな。『からくり門』大掛かりなトリックが光るシンプルにして純粋なハウダニット。『悪女仇討』眠狂四郎の一人称のハードボイルド風味。こういう趣向変えもまた楽し。2017/06/01
信兵衛
26
眠狂四郎という特異なキャラクター、その眠狂四郎だからこその妖しい事件を集めた一冊。収録21篇とあって、たっぷり堪能できました。2017/04/27
ひなきち
25
読めば読むほど、眠狂四郎というニヒルで陰のあるヒーローに…どんどん惹かれていく。21の短編、すべて楽しんだ。ん?この感覚は妙に懐かしい…。猟奇的でエロありの時代劇がテレビで流れ、キャーキャー顔を覆いながらも、指の隙間からこっそり見てた頃のような…。後半は本格ミステリーで、思わず唸るトリックもあった。気になったのが、美保代さんとの関係…。読むたびに関係性が変わり、ドギマギ。全編通して読んでみたくなった。2017/04/26
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