内容説明
西洋美術史を学ぶと西洋の文化がより鮮明に見えてくる。赤い薔薇は「性愛の女神」アフロディテを表すので、お客様の目に付くところに飾るのは品がない。なのに、外国文化大好きな人たちは、そういうことを知らずに赤い薔薇を自慢したりする。無邪気なだけに性質(たち)が悪い。基本を知っていて崩すのと、知らないのとでは、まったく違う。そもそも、何でも表面だけ取り入れる「おフランス」病から抜け出して、むしろ日本人としての矜持を持つべきだ。ワインはヨーロッパ人にとっては地酒のようなもの。日本人なら、ワインについてうんちくを傾けるよりも、日本酒に詳しいほうが断然素晴らしい。西洋美術史を学ぶのは「西洋かぶれ」ではない。西洋美術史を学べば、日本のことも客観的に見ることができて、もっと楽しめるはずなのだ。市民講座などで大人気の講師による、エスプリの効いたエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てっしー
4
題名から「ゴッホやモネの絵画における浮世絵の影響云々…」といった内容を期待すると、肩透かしどころかはたき込みを喰らいます。要は、外国で西洋美術史を学ぶことを通して西洋の知識階級と交流を深め知見を得た著者が、日本人の振る舞いに対して苦言を呈し、ありがたい提案をなさる、という内容。結構知らなかった事が多く、やや赤面。著者は実に嫌味な書き方をされる方ですが、優しく書かれるより意外と身に付くかもしれません。2013/03/24
nizimasu
3
いつもの木村先生の本より軽いタッチなので、多分、語りおろしでしょうか。いつもの冷静な文章ではなく、時には毒も交えつつ面白いキャラクターだったのが印象的。個人的には心に残る美術鑑賞の態度みたいな事がさらりと書いてあって大変、楽しく読ませてもらいました2013/01/12
kotohito
2
美術についてというよりも、ヨーロッパの常識を知ってる人から見た日本って感じ? どこの国でも、品格というか、そういうものは変わんないんだね。2009/10/30
37
1
1/5ほど読んたところでゲンナリしたので飛ばし読みにも程があるくらいの飛ばし読みで終了。富裕層出身で欧州米国で美術を学んだエリート老人から日本の庶民の雑さへの嘆きと愚痴を聞かされた気分だ。タイトル詐欺ですね。2020/12/05
るるぴん
1
欧米帰りの文化人がカルチャーショックを綴ったエッセイという感じ。スマホ以前のセレブと以降のセレブでは、欧米人たりとも文化的教養に差があるのでは?と思うと内容的には古く感じる。ただ、後半のざっくり美術史や美術解説は簡潔でわかりやすく、メモしておこうと思った。歴史背景を知っているか否か、読み解けるか否かで、美術館や美術品から得られる情報量には格段の差が出てくると理解したので。こういうロングスケールの芸術的観念が日本人に育まれてこなかったのは残念。2017/10/13