内容説明
日本人として2人目のノーベル賞に輝いた朝永は、当代一流の粋人にして随筆の名手でもあった。飄々とした闊達なユーモアと、平和への真摯な姿勢に満ちた珠玉の24篇を厳選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
80
ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎氏のエッセー。小難しくなくて寧ろ、分かりやすく、おおらかな朝永氏の人柄が伺えます。巻物状で手に入れたかった鳥獣戯画への深い愛着ぶり、「なまいき」という言葉に託した次世代への敬意、幻灯機作り、一家の愛猫の思い出話が微笑ましい。そして湯川秀樹氏やアインシュタイン博士に対する引け目や大学の講義が存外、窮屈なのでさぼった事、雨で体育が無くなった事で喜ぶ姿などはなんとも人間味があって親近感が湧きます。放射能汚染について科学者のあるべき姿を述べたエッセーには頭が下がるだけです 2017/02/05
アルピニア
54
24篇のエッセイが5部に分かれて取り上げられている。最初の部では、庭に鳥の餌台を設置して観察したり、猫の捜索をしたりという日々の暮らしを描いた篇が多く、自然体で丁寧に生活しているとの印象を持った。2部と3部は身の振り方の悩みや留学先での寂しさなどが綴られた篇もあり、細やかな人となりが感じられた。4部と5部は、師「仁科芳雄」との出会いやこの国の研究に対する姿勢、原子核研究の行く末を取り上げた篇が並び、研究者としての厳しさ鋭さに満ちている。研究も生活も偏りなく地に足をつけて生きた様子が全篇を通して窺える。2023/01/06
うーちゃん
27
日本人二人目のノーベル物理学賞を受賞した、朝永振一郎のエッセイ。超多時間論を基にくりこみ理論の手法を発明、量子電磁学の発展に寄与したそう。なるほどわからん。とにかくそんなすごい人の書いたエッセイだから、難しいのかなと身構えたけど、このかた、素晴らしい書き手でもいらっしゃる。飼い猫のこと、武蔵野の風景のこと、父親のこと、物理についての思いなど、スマートで美しい文章で、とても面白いエッセイだった。何の分野においても道を極める人というのは 頭脳が豊かなだけでなく、人間性やこころが豊かなんだなあと思った。2017/01/08
わっぱっぱ
26
自然体で、人間味を感じさせる随筆。朝永氏は科学研究において天才的な資質を持っていただけでなく、優れた書き手でもあったようで、回想文などはとりわけ情趣に富んでいる。科学というとつい、客観的で、数字的で、機械的なイメージを抱いてしまうのだけれど、先に読んだ湯川氏も語っているように、詩も科学も実のところ、出発点と行き着く先は同じなのではないか、ということがおぼろげにも分かる気がする。鳥獣戯画や動植物、故郷などへの愛情の寄せ方に好感を抱く。何というか、頭もだけど、心が柔らかい人なのだな。2017/07/08
naotan
20
ファインマン先生と同時にノーベル賞を受賞した人だっけ、というくらいの認識で手に取ったけど、朝永先生も負けず劣らず素晴らしい人ではないですか! 個人的にツボッたのは、先生の言われる黒人街に私は住んでいるようです。2018/11/28
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