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内容説明
東京オリンピック招致で、「おもてなし」が日本の良さを表す言葉として話題になったが、その反面、行き過ぎたサービス労働のために発症するうつ病、過労死が社会問題化している。その社会的背景や実例を示し、対処法を考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
146
「おもてなし」を勘違いし、生きにくくなっている現代日本に警鐘。顧客満足と共に、「従業員満足」も達成しないと、長続きしない、と実感。2020/01/13
きいち
47
図書館で言われる「ありがとうございました」への強烈な違和感!そうそう、と膝を打ち読み始めた。感情労働に疲れた人が、客となってそのストレスを発散するためモンスターと化し、新たな感情労働ストレスを生んでいくという負のスパイラル。逆転させるのに特効薬などない、個々の労働者、個々の職場での取り組みを回していくしかない。ここで提示された処方箋のなかでも特に有効だと思ったのは、相手の背景まで考察する「探索的理解」。相手の苦しい状況が理解できれば腹も立たなくなることは確かにある。どんな仕事でも大切なスキルかもしれない。2017/05/21
hatayan
46
欧米は自分第一の「自己中心の文化」だが我が国はお互いに気遣いしあう「間柄の文化」。顧客満足の考え方が輸入されると日常に加え仕事の場でも感情の抑制を迫られることが増え、一方顧客である保護者や患者は増長。現場の教員、看護士にしわ寄せが行くことを懸念します。 ストレス過多の環境を生きる処方箋として、事実を違った枠組みに置く「リフレイミング」、メンターを持つこと、日記など個人的なものに思いを書き留める習慣を持つことを列挙。気分が落ち込むことがあってもやがて回復するしなやかさ「レジリエンス」を高めたいと提案します。2020/03/07
鱒子
38
図書館本。サービス過剰へ警鐘を鳴らす本。全くその通りだ!もっと言ってくれ! しかしーー 自分は販売業従事者です。本書に書いてある通り、理不尽な「お客さま」も確かにいますが、そればかりに目を向けると仕事というものを見失う気がします。接客業に限らず、上司部下の間柄にも存在する、過剰な「感情労働」 。結局のところ、自分がどこに立ち、どこに目を向けるかを見つけらないと、解決しないと思います…。2017/04/21
hiyu
17
「おもてなし」、とは明らかに「サービス」とは異なるである。多分ホスピタリティの意味合いが強いのではないか。それが、いつの間にか、「当然の」また「デフォルト」としての意味合いも加わったサービスとなっている。もしかしたら自分でも「暗黙のうちに」、「空気感」を醸し出してそれを要求しているのかもしれない、そう考えるとなんだか怖い。2017/03/23