内容説明
8歳で山に入り、15歳で熊を撃ち、山に生きてきた男・志田忠儀。猟、釣り、キノコ採りで生き、朝日連峰の山小屋の管理や遭難救助隊、環境活動も行ってきた。山に暮らすすばらしさを教えてくれる一冊。
※本書は二○一四年十一月小社より単行本として刊行された作品『ラスト・マタギ 志田忠儀・98歳の生活と意見』を改題し、加筆修正のうえ文庫化したものが底本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
49
山形県の朝日連峰で、100歳で死ぬまで自然と対峙してきた著者のノンフィクションです。著者は、猟師であり、民宿経営者、登山家、国立公園管理者、山岳救助隊、そしてネイチャリストです。あえて言えば文筆家でもあるわけです。著者の志田忠儀さんをネット検索してみると、「ラストマタギ」なるワードで修飾されていました。そう、マタギなのだ。豊かで厳しい自然の中で生活するマタギのお話です。大自然や野生の素晴らしさと厳しさと、人間の強さが凝縮された一冊でした。2019/03/10
ホークス
46
貴重な記録として一読の価値がある。著者は1916年に山形県の朝日連峰地域で生まれ、先年100歳で亡くなった。クマ撃ちの話がまず凄い。山での心得からクマの生態や狩猟のコツまで詳しく語られ、著者と共に山道を行くかのような気分だ。沢には大きなイワナが群れ、見事なブナ林が延々と続く。招集されて足掛け10年も中国で戦った恐ろしい体験談。帰国後は経験を遭難救助に活かす。自然の猛威と命がけの救助が生々しい。並行してブナの伐採を止めようと10年がかりで戦う。山人の波乱万丈な自伝であり、文章が実直で嘘が感じられないのも良い2019/06/12
Nao Funasoko
13
1916年(大正五)に生を受け2016年(平成十八)に天寿を全うした志田忠儀。兵役で過ごした20代の大半の時代を除けば、猟師として自然保護運動活動家として遭難救助隊員としてその全てを山に捧げた男の記録。こんな時代、こんな場所、こんな人生があったのかと感嘆せずにはいられない。まさに人生は一編の大河小説だ。 2018/09/08
り
12
山で生きるセンスが抜群。謙虚さも才能か、と思いながら読みました。山の、美しさも怖さも心得て生きる姿に胸が熱くなります。登山計画は余裕を持って立てないと、死ぬ。2017/05/11
マネコ
10
またぎの貴重な体験を伝記として知ることができます。知識というよりはまさしく経験なので、臨場感あふれるこれぞノンフィクションといった一冊です。2019/08/12