内容説明
一大ブームとなった腸内フローラ。今や人間の健康に腸内環境を整えることが欠かせないのは常識となった。その数100兆個以上といわれる腸内細菌のバランスに大きな影響を及ぼすのが乳酸菌・ビフィズス菌を始めとするプロバイオティクス。腸内フローラを整える働きをもつ微生物を指す。医師も病院もない宇宙空間で長期滞在する宇宙飛行士が乳酸菌を摂取すれば、免疫機能や腸内環境にどのような影響があるか。そんな実験も始まろうとしている。乳酸菌は、果たして究極の予防医学となりうるのだろうか。
科学に基づいた遺伝子レベルでの最新情報とともに、健康を保つために最適な乳酸菌とのつきあい方を紹介する、腸内フローラ研究の決定版。
【目次】
◆ようやく見え始めた腸内細菌の「姿」
◆赤ちゃんの腸内細菌はどこからやってくる?
◆腸内細菌は人間の“味方”なのか“敵”なの
◆有能な乳酸菌の性質とは?
◆見えてきた日本人の腸内フローラ「標準値」
◆フードファイターはなぜ太らない!?
◆乳酸菌は生きて届かないといけないの?
◆乳酸菌飲料はいつ飲むのがいい?ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zoe
23
乳酸菌が宇宙に行った話は1.5%ぐらい。腸内細菌と人間の共生関係についての本で、特にシロタ株に詳しい。有用細菌を摂取するプロバイオティクス、細菌の餌となる食材を摂取するプレバイオティクス、両方を同時に摂取するシンバイオティクス。生菌数が重要、RNAを解析するとわかる。YIF-SCAN。人間が一生に70トンの食べ物を口から入れ、細菌を体内で育てる。食材のなれの果てが、人間の体を構成している。細菌バランスの崩れは、体調の乱れを引き起こす。ベストなバランスは、まだ分らない。糞便微生物移植療法がある。2019/04/26
二戸・カルピンチョ
23
乳酸菌「L.カゼイ.シロタ株」がいよいよ宇宙へ行く。その前に、人体そのものが小宇宙である。プロバイオティクスが世間に取り沙汰されるようになった、昨今。腸内細菌を初めて見た人は、17世紀オランダの科学者アントニー・ファン・レーウェンフックだという。その後様々な生化学者や医学者により研究され、今、本書に記されている驚愕の真実までたどり着いた。腸内細菌がいると言うことは、つまり自分以外の生き物が腹に住んでいると言うこと。上手く共存出来ないと人は健康でいられない。人は一人では生きられない。人は一人ではない。2017/04/08
Humbaba
6
理想的な環境を知る事は重要だが、残念ながらそのような環境が実際にあり得るかと言えばそんなことはない。ある特定の相手にとって住み心地が良い環境は、他の相手にとってもまた適切な環境になってしまう。個別の要素について知ることは意味があるが、それを実社会において有効活用するためには更にもう一歩進める必要がある。2017/05/23
しまちゃん
2
私たちの腸内には100兆個以上の微生物がすみついています。特定の食物成分に対して免疫寛容が崩れてしまった結果、過剰な免疫反応が起きてしまうのが食物アレルギーと理解されています。うつ症状の改善にも乳酸菌・ビフィズス菌が影響を与えるようです。肥満防止の鍵も腸内細菌が持っているようです。生きたまま腸内に届くL.カゼイ・シロタ株の働きのすごさ、発見したヤクルトの創始者である代田 稔博士の凄さを感じました。JAXAとヤクルト本社中央研究所は、宇宙ステーションに長期滞在する宇宙飛行士にも検証する研究を進めています。2017/06/22