文春新書<br> 火山で読み解く古事記の謎

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文春新書
火山で読み解く古事記の謎

  • 著者名:蒲池明弘
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 文藝春秋(2017/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166611225

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内容説明

なぜ古事記は火山地帯をおもな舞台としているのか?

古事記における大きな謎のひとつは、九州南部と出雲の二か所が神話の舞台として繰り返し登場することです。
その謎をとく鍵は、その二か所が日本列島で有数の火山エリアであるというシンプルな事実から見出されるのではないでしょうか。

縄文時代の半ばごろの今から7300年前、鹿児島県の南端の沖合いで「鬼界カルデラ大噴火」という、噴煙の高さが海抜43キメートルにもおよんだと推定される、すさまじい規模の噴火がありました。日本史上、いや、この一万年間では地球上で最大の噴火ともいわれる規模でした。

その巨大な火山噴火に遭遇した縄文時代の人々の、驚きや畏怖の感情が、古事記神話の「種」になったのではないか? そう思い描いてみると、神々の物語はまったく違った相貌を見せてくれます。

地質学データ、文献、足で集めた情報をもとに古事記神話の謎に挑戦する意欲作!
火山と古事記を結びつける本や論文を紹介するガイドブックであり、九州、出雲、熊野という古事記神話の舞台への旅にいざなうガイドブックです。

<目次>
第一章 アマテラスと縄文時代の巨大噴火
第二章 出雲――八雲立つ火山の王国
第三章 縄文時代に出現した天孫降臨の山
第四章 女神イザナミ――黄泉の国は火山の国か
第五章 熊野――謎の巨大カルデラの記憶
第六章 大地を鎮める王――永遠に遍歴するヤマトタケル
終章 日本列島における火山の記憶

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

66
七千三百年前に起きた鬼界カルデラ噴火の記憶が縄文人によって伝承され古事記の神話に引き継がれていった…という内容。天の岩戸やヤマタノオロチ、天孫降臨、ヤマトタケルなど様々な神話を火山というキーワードで読み解くのは刺激的でした。火山と日本神話を結びつけたのが亡命ロシア人だということにも、びっくり!火山活動の膨大なエネルギー、その破壊力を思うと古代人がそこに神を見ることは当然でしょう。研究書にはない自由な発想を楽しみました。2019/12/12

やいっち

51
初読の際、「「古事記」は神話の書でもある。伝説が数年から数百年の話を引きずるとすると、神話は短くても数百年、あるいは本書が語るように、日本各地の火山による被災の記憶であるなら、数千年(一万年も)ほどの過去の記憶をも引きずっているはず。縄文の世以降で、日本列島に生きる人々に何が記憶として厳しく刻まれたか。それはやはり、火山(噴火)であり大地震(津波)だろう。何故に大地が鳴動するか昔の人にわかるはずもなく、神の怒り以外に原因が思い浮かぶはずもない。」と書いた。2025/08/20

やいっち

37
なかなかおもしろかった。特に「古事記」は神話の書でもある。伝説が数年から数百年の話を引きずるとすると、神話は短くても数百年、あるいは本書が語るように、日本各地の火山による被災の記憶であるなら、数千年(一万年も)ほどの過去の記憶をも引きずっているはず。縄文の世以降で、日本列島に生きる人々に何が記憶として厳しく刻まれたか。それはやはり、火山(噴火)であり大地震(津波)だろう。何故に大地が鳴動するか昔の人にわかるはずもなく、神(という呼称を便宜上使っておくが)の怒り以外に原因が思い浮かぶはずもない。2017/07/19

kk

28
古事記を中心とする日本神話を、火山噴火の記憶という切口から捉え直す試み。kkなんぞには内容の当否は判断しようもありませんが、著者の謙虚で親切な語り口はとてもナイスでした。思わずその主張に引き込まれてしまいそうです。2022/04/24

fseigojp

22
はたして7300年まえの鹿児島南部のカルデラ噴火は民族の集合無意識となって古事記につながったのか?2018/05/13

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