内容説明
音楽学者にして熱烈なモーツァルト崇拝者でもあったアルフレート・アインシュタイン(1880~1952)はモーツァルトの妻・コンスタンツェを、はっきりと「琥珀のなかの蠅」呼ばわりしました。ご馳走と見ればすぐさまそれにたかりにくる醜く、汚らわしく、うっとうしい存在。天才の妻として、なぜこれほどまでに、コンスタンツェは否定的なまなざしで受けとめられねばならなかったのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
22
映画「アマデウス」で、そういえば彼の妻はコンスタンツェだったっけ、と思いだしたもの。それほど個人的には印象が薄かったのですが、かつてモーツァルトという不世出の天才の妻であったこの人は、「悪妻」「愚妻」の悪名を付けられていたのだそうな。なぜこんな汚名が彼女に課せられたのかという事について、作者は彼女とモーツァルトの人生とそのあとの歴史をじっくりと追っています。彼女についてわかっていることはあまりに少ないにもかかわらず、なぜこんなにさまざまな評価が出たのか。そんなこんなを、作者は優しい視点で描いています。2020/10/06
trazom
4
この本では、どのようにしてコンスタンツェ悪妻論が形成されてきたかという歴史的変遷が紹介されている。単にコンスタンツェ論にとどまらず、モーツァルトの受容史が変遷した様子が明らかにされ、視野の広いモーツァルト論が展開する。コンスタンツェを切り口にして、古今のモーツァルト評論を概観して比較するという面白い切り口である。こうしてみると、コンスタンツェをどう捉えるかということが、モーツァルトとどう向き合うかのリトマス試験紙になるような気がする。尤も、読み終わっても、やっぱりコンスタンツェは好きになれないけれど…。2017/06/14
horuso
3
カバーの惹句に偽りあり。『真の姿を検証する試み』とあるので、新資料が出たか、著者が独自の考察を行ったのかと期待したが、基本的にこれまでの論説をまとめただけで、真の姿の検証など(でき)ないし、著者の考えも示されない。モーツァルトの音楽好きが嵩じて文献を読み漁ってきたので、出てくる学術的資料のほとんどは既読で、初めて知ったことはなかった。だが、こう並べてもらうと、それぞれの主張が時代の制約の中でなされたことがよくわかるのと、フィクションでコンスタンツェがどう描かれてきたかは知らなかったので、無駄ではなかった。2017/04/30
ゆずこまめ
2
モーツァルトが偉大な作曲家で不世出の芸術家なことは確かだけど、父として夫としてどうだったかはコンスタンツェにしかわからない。 コンスタンツェの悪妻との評判は欠席裁判のようで、あまり気持ちがよくはない。 そもそもモーツァルト本人が賢妻を望んでいたのか?2019/12/17
みけねこ
2
コンスタンツェのみならず、いろんな角度から人を見るって大事だなと思った。人の数だけ色んな解釈あるから複雑だし面白いのかもしれない。言われている方はたまったものじゃないけれど。2019/11/29
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