内容説明
不意にさしかけられた傘の下で、男の優しさにずっと浸っていたかった――。大店の跡取り息子に尽くし抜いて捨てられた長屋娘と、娘の悲しみを見つめるもうひとりの男の目。男女のやるせなさに心震える「雨の底」。密かに持ち込まれた商家夫婦への不可解な脅迫文が、隠居暮らしの慶次郎を、愛憎渦巻く事件の暗がりへ再び導く「横たわるもの」ほか、円熟の筆が紡ぎだす江戸人情七景。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kira
14
シリーズ第十五集。単行本既読。「はこべ」は、何度読んでも心にしみる。愛娘の三千代を理不尽に奪われた慶次郎の激情を描いた「その夜の雪」から「はこべ」まで、北原氏の作品が円熟味を増してくる過程を見ることができる。文庫版『乗合船』を読んだら、シリーズ再読をまた始めたい。2022/04/13
Nonna
1
はこべの花言葉を調べてみた…追想…があってるかなぁ2022/06/30
ドロンジョ935
1
慶次郎縁側日記シリーズ。いつものように江戸の季節感ある描写と、暖かみのある人間たち。吉次でさえも、最近は、いいやつ。2016/10/26
k.inoue
0
北原亞以子2014年作。元定町回り同心森口慶次郎のまわりの市井の住人たちの生きざまを後押しする。2023/03/22