内容説明
非正規雇用が4割に達し、日本の労働環境は過酷さを増す。重い負担と責任を押し付けられる非正規社員。低待遇なのに「正社員なんだから」とブラック労働を課される「名ばかり正社員」の激増。安心・安定の象徴だった「正社員」が危機に瀕している。緊急警告!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
76
企業の非正規雇用が増えるなか、その現場の実態から始まる。 「正社員」という言葉、海外では通じないようだ。言葉でなにも変わるものではないが非正規雇用という言葉も正規雇用という当たり前小ばかにしているようで私は嫌いだ。日本の有効求人倍率が高くなっているとはいえ少子高齢化他で求職・求人のミスマッチも多く離職率も高い。そのうえ非正規雇用の低賃金では悪循環だと思う。リーマンショックの頃私の職場にいた派遣労働者も能力がありながら法律の改正と景気のこともあり去らざるを得なかった。いまこそ「働かせ改革」を!2017/06/08
川越読書旅団
43
正社員の消滅を助長する社会体制や法整備が整いつつある現実を明瞭に解説しているビジネスマン必読の書。2017/10/14
skunk_c
28
元ジャーナリストとしての丹念な取材と、現研究者としての視点の定まった問題意識が、このような良書を生み出したと言えるのではないか。「正社員」という言葉の意味が、もはや年功序列・終身雇用時代とは異なってきていることを実感させられる。今野晴貴氏も指摘していた、正社員=転勤などの会社の命令にしたがうという側面を残しながら、給与引き下げだけを考える企業、さらに解雇の自由を確立したい財界と政府。これに対し、生活・生存権保障の立場から警鐘を鳴らす。労働基本権の根源に社会権があるということを我々働くものは再確認したい。2017/10/18
ゆう。
28
安倍政権が「働き方改革」を進めるなかで、企業がどのように労働者を働かせようとしているのか、考えることができました。正社員という言葉の曖昧さもありますが、長時間過密労働と低賃金に正社員を追い込んでいき、非正社員との違いがわからなくさせる、底辺にあわせての改革の方向性があるのだと思います。それが「同一労働同一賃金」という名のもとに正当化されようとしているのではないかと思いました。働く権利と余暇の権利、文化的生活をおくる権利を労働者に保障していく労働運動が求められているのだと思います。2017/04/07
katoyann
19
正社員が減少の一途を辿る現状を分析したルポルタージュである。非正規雇用の増加は、労働者派遣法改定(1999年)に見られるように、規制緩和という政策の結果である。企業は人件費を切り詰めて収益を上げるため、正社員の解雇を実行しつつ、非正規社員に高いノルマと長時間労働を要求する。そんな不当な雇用管理が横行しているという。安倍政権では「民間人材ビジネスの振興策」(139頁)を打ち出す一方で、雇用調整助成金を大幅に削減し、代わりに社員の離職を促す助成金を大幅に増加した。私たちの雇用が政策により脅かされている。2021/08/07
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