内容説明
イギリスの二大諜報機関MI5とMI6に在籍していたことを明かし、詐欺師だった父親の奇想天外な人生を打ち明ける。スマイリーなどの登場人物のモデル、紛争地域への取材、小説のヒントになった出来事、サッチャーをはじめとする要人との出会いも語る話題作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
彼の作品は昔にかなり読んでいてその緻密な構成などに引き込まれたものでした。最近は東西冷戦の時代も過ぎて彼の活動の場が少なくなりましたが、この自伝というか回想録を読んで「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い出しました。特に父親のことを書いたところは小説ではないかとも思ってしまいました。2017/05/28
Panzer Leader
43
スパイ小説の巨匠ル・カレの回想録。政治家・俳優・映画監督・著名人との出会いと交流、執筆作品の成り立ちやストーリー・登場人物のモデル、映画化されたりされなかった作品の裏話、そして父親との確執などが皮肉とユーモアに包まれて語られている。小説と違って読みやすい上、本作だけでも充分楽しめるが、ル・カレの他の小説を読み返したくなる罪作りな作品でもある。2017/08/03
ぐうぐう
32
ジョン・ル・カレ、85歳にして初の回想録。自伝とは趣きが違う。生い立ちから時系列に語られているわけではない。38章で構成された本書は、ひとつの章でエピソードが独立しており、時代も舞台も主題もてんでばらばらで、ル・カレが思い付くまま綴ったような印象を受ける。ゆえに、どこから読み始めてもいいスタイルとなっているのだ。小説家になる前のスパイ時代のこともかなり赤裸々に語られている。ベストセラー作家となり、世界の要人と会ったときのエピソードも、今だからこそ話せる内容で興味深い。(つづく)2017/05/06
hideo
26
「寒い国からきたスパイ」の作者。エスピオナージノベルスの代表作品。この本は、本の名の如く作者の回想録。この本を解説している、手島作品につられて読んだが、諜報活動の歴史を知らないとあまり楽しえない。私もその1人。後半の父親部分が興味深い。2018/02/09
ヘラジカ
26
回想録らしからぬ題名の由来を明らかにする序文から、最後の謎の金庫を巡る逸話まで、40篇(序文含めて)どれをとっても余さず面白い。著者自身の小説作品と同じくらい楽しめたと言っても言い過ぎにはならないと思う。難解なまでに緻密な作品を書ける理由、政治・文化両面の要人たちとの出会い、大きな影響を及ぼした父親との思い出など、ル・カレの生涯に関するあらゆるエッセイが詰め込まれた一冊という感じ。現在同時進行で読んでいる『ナイト・マネジャー』にも触れられていてとても嬉しかった。予習がてら読み始めた甲斐があるというものだ。2017/03/11
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