内容説明
11歳から14歳までの3年半、不登校やひきこもりを経験し、生きることが辛いほどの孤独に苦しめられた吉藤健太朗。
中1の夏、ふとしたきっかけで出場することになったロボットコンテストで奇跡の優勝を果たす。
師匠と呼ぶ先生との出会いを経て高校に進学後は、
画期的な車椅子の発明から世界最大の高校生の科学大会「Intel ISEF」でみごと栄冠に輝く体験をすることに! ところが……。
それまでの辛い経験、努力が報われたことや、栄えある受賞の誇らしさを感じながらも、
猛烈に湧き上がってくるのは「自分は何のために生きているのか」という強烈な不安感だった。
人生のいろいろな壁を、常識破りやクレイジーと言われる方法で突破しながら、
“理論”ではなく“感覚”でロボットを研究する筆者の思考回路、発想法が詰まった、
自分のあらゆる可能性の扉を開きたくなる1冊。
*目次より*
・分身ロボット「OriHime」
・足を使って移動することでわかること
・私の白衣はなぜ黒いのか
・人と馴染めなかった幼少時代
・ひきこもりからの脱出
・学校は行きたいときに行くもの
・師匠への弟子入り
・世界大会への挑戦と世界の高校生との出会い
・「孤独」という問題と向き合う
・大切なことは野外活動が教えてくれた
・なぜ「擬生命化現象」は起きるのか?
・たった1人のロボット開発
・ALS患者の孤独を解消せよ
・自分への挑戦 ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
253
よかった。「人間の孤独を消す」ことをミッションに掲げ、コミュニケーションロボット「OriHime」によってそれを実現しようとしている30歳の若きロボットコミュニケーターの自伝的な本。著者自身が10代のころに周囲と上手くコミュニケーションできなかった体験をつづりつつ、首から下が動かせなくなる難病ALS患者に実際に使ってもらったりする試行錯誤の過程が描かれている。そもそも孤独とは何なのか、人間が幸福を感じるために必要な要素とは何か。人間が求め続ける「人とのつながり」の著者なりの見解が込められている。2018/03/30
(C17H26O4)
47
ロボットの見た目の可愛らしさと『孤独は消せる』という力のあるタイトルのギャップが気になり、物理部在籍、ロボットに興味のある娘のために購入。OriHimeという名前のこのロボットは、自分が行けない場所に置くことで、自分の分身としてその場に参加させることができるというもの。シンプルな発想だが、物体として存在が実際にあるのとないのでは、その場にいる感覚に雲泥の差があると思う。ネットで動かして感情表現も与えられる。AIではないというのも重要だと思う。ビッグデータからの表現の抽出ではなく、→2018/07/05
azukinako
44
タイトルからは全く分からなかったが、これは、障害や何らかの事情で動くことができない人に代わって、その人の目になり体験する分身ロボット、「オリィ」のことであり、作者の吉藤さんが「オリィ」を作るまでの話だった。どうして「オリィ」をつくりたいのかという彼の思いが素晴らしくて、感動。もっと多くの人に知ってもらいたい。2020/02/01
ミライ
43
分身ロボット「OriHime」を開発しているオリィ研究所の所長である吉藤健太朗さんによる著書。著者の自叙伝を通して、引きこもり・不登校を経験した自分がいかにして「Orihime」を作り出したかが語られている。「人」に対して興味のなかった著者が「人」と関わることで「人からの癒し」に気づき、人生の目標を「孤独の解消」とし「Orihime」を開発するまでが赤裸々に語られる。読み終わった後、Youtubeで著者のプレゼン動画をみたが、とにかく彼の「熱」に圧倒された、本とセットでみるとより楽しめます。2019/03/28
香菜子(かなこ・Kanako)
34
「孤独」は消せる。。吉藤健太朗先生の著書。ロボット研究者である吉藤健太朗先生がご自身の3年以上にもわたる不登校経験から得た考え方や価値観を語った良書です。不登校や引きこもり経験を持つ全ての人や不登校や引きこもりの子供たちと接する機会のある全ての人に読んで欲しい一冊です。吉藤健太朗先生が研究者として活躍されているのはもちろんご本人の才覚や努力によるものでしょうけれど、不登校やひきこもりのご経験が役に立っている部分も大きいのかもしれません。2018/12/28