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内容説明
八幡神が神仏習合を先導することになったのはなぜか。朝鮮半島の新羅から九州・宇佐、そして奈良の都から全国へ。時の権力とかかわりながら、歴史の転換点を乗り越え、勢力を伸張していった「仏神」の姿に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
14
八幡さんは、数が多くて身近なところでもよく見かける一方で、神話の神の神社に比べるととっつきにくい印象があるのは、やはり神仏習合という複雑な背景があったからであるように思う(この点、熊野系も同じ)。そのとっつきにくさを解きほぐすには実際に主要な八幡さんに行ってみながら、少しずつこういう入門書で勉強していかないといけませんね。2016/01/03
閑
8
神なのに大仏造立に協力し八幡大菩薩で知られる八幡神に関する本。神体山信仰・一氏神としての神に渡来人が信仰し仏・道教色の強い香春神が混交した独特の素地を持ち、さらに畿内出身の大神氏が応神霊を付与し八幡神が成立したと言う。元から習合的だった八幡神は英彦山を中心とした仏・道教色の強い原修験道を取り込み仏教色を強め大仏造立協力の託宣に始まり中央進出、菩薩号を受け垂迹説を取り入れ神仏習合現象の先頭を切る。大分細かい部分まで深入りするので若干読みづらいが、日本人の宗教観の底流を知るには避けては通れない部分だと思う。2013/09/28
OjohmbonX
6
もともと神は豪族(氏)と紐付いていたので、支配者交代時に不都合があった。普遍的な仏教の方が地方支配に都合が良く、「神様は自分が神様であること自体に苦悩している、それを仏教で解放する」という理屈で仏教が導入され、神社の中に神宮寺が生まれていく。さらに神が仏教を守るという理屈で寺のそばに鎮守社ができる。それが進むと「神はそもそも仏が姿を変えたもの」(本地垂迹説)という理屈が生まれて本地仏の設定が進むが、明治の神仏分離で廃れていくという流れ。このプロセスを八幡神・八幡台菩薩が促進させた経緯を描いている。2021/11/17
kawasaki
6
不思議な神(仏神)である八幡神/八幡大菩薩の、生い立ちと変容・発展の跡を追いつつ、神仏習合という信仰の形を浮き彫りにする。渡来系技術集団!血塗られた伝説!苛烈な権力闘争!神託の陰に見え隠れする人間!王権と結び仏教と結びつく、信仰形態の目まぐるしい変遷!宇佐周辺地域のローカルな信仰を掘り下げつつ、一方で中央と結びつき全国に広がっていくワイドな視野にも切り替え、興味が尽きない。叙述のメインは宇佐が最も盛んであった中世頃までだが、廃仏毀釈の近代を通じて現代まで言及される。2019/10/19
中年サラリーマン
6
読み進めるのがしんどかったが、視点としては秀逸だと思う。ただ僕のほうに著書を読みこなすだけの知識がなかっただけ。さらなる入門書の執筆を望みます。2013/05/06