内容説明
天性の美貌と才能を持つ猿楽師の三郎は、父の死をきっかけに兄の一座を離れた。そして自分の一座を建て、将軍の前で舞いたいという野望を抱く。能楽の大成者・観阿弥が新たな芸術の創造に向け試行錯誤する若き日の姿を鮮烈に描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いずむ
7
クライマックスはもっと勿体ぶって欲しかった!!というのはあるんですが、舞台情景のくだりには目に浮かぶイメージに息を呑みました。一度自分でお金を出して『能楽』を見てみよう、そう思った作品でした。2010/06/04
八岐
7
観阿弥を主人公にした価値がないよなあ。それまでの猿楽から、彼が導き出した能というものがどれほど革新的で目新しいものだったか、という点についてはサッパリ触れておらず、若者の自意識過多の迷走と押し切りばかりを見せられても、ふーん、だからなに? という読後感しかなく、非常に残念感に苛まれるものだった。がっかり。2010/03/02
むつぞー
5
能が好きで手にしたんだけど、う~ん。素材は悪くないんだけど、パワーと雰囲気だけで描ききってしまった感じ。物語からこぼれ落ちてしまった物が多くて、散漫な物になってしまった気がします。2010/04/29
カザリ
4
せっかく杉本苑子全集買ったんだから、『華の碑文』踏破しようと、思い出した一冊。正直、観阿弥と鶴屋南北は大ファン。現在創作物は平安中期の武士だけど、次回は煮詰まっている、平安傀儡ものをやっぱりやりたいなあと思う。その前に、杉本苑子。。。長いんだよな。こら2012/10/07
チャティ
4
観阿弥はロリコン(ぇー 能楽の大成者が、自らの思う能を成功させるために奔走し、裏切られ、辱められ、挫折し、それでもなお這い上がる姿を描く歴史フィクション。この時代に明るくないせいか、いまいち時代背景にリアリティを感じられないところはあったけど、ヒロイン藤寿を必死に探すくだりはなかなかに心情に訴えてくるものがあった。最後の乗っ取りどんでん返しはちょっと性急すぎたかな。もうちょいタメが欲しかった。2010/03/20