内容説明
朝霧学園高校に通う穂泉沙緒子と和藤園子は、クラスメイトの塀内准奈から県内名門校の神原高校で殺人未遂事件があったことを聞く。被害者はミステリー文芸部の部員で、そのポケットには謎の暗号が書かれた紙が入って いた。そしてミステリー文芸部が出している作品集の目次にも違和感がある題名が書かれており――。事件に興味を持ったふたりは、神原高校に向かう。<四つの題名>他、大学のテニスサークルで起きた不可解な服毒自殺事件<まだらの瓶>を収録。沙緒子と園子が再び事件に挑む!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
265
1作目から読みたかったが、書店でコチラしか売っていなかったので、2作目から読んだ。ホームズをモチーフにしたライトノベルスだが、かなりしっかりした本格ミステリになっており、楽しく読めた。主人公に本家ばりの洞察力が継承されており、ミステリを読み始めた頃の気持ちを思い出してほんわかとさせられる。事件自体は地味なものだが、犯人追求に至る手順が、少し白々しいくらいに"まさに名探偵"な感じを演出しているので、好きな人はとことん好きになれそう。モリアーティやマイクロフト的なキャラが登場するのを期待。デビュー作も読もう。2017/02/23
佐島楓
47
シリーズものなのを知らずに購入し読了したけれど、あまり問題はなさそうだ。内容的には淡々とした文章の手堅い本格ミステリ。キャラの印象が少し薄いかなと感じたけれど、これはこれで面白かった。2016/12/19
へくとぱすかる
42
2作目も、実に鋭い推理の切れ味でした。もちろん作者が沙緒子にそのように語らせているのだから、物語の構成、小説としてのサプライズなどの効果を、充分に計算して書いていることに間違いなく、まさに脱帽するしかない。とくにタイトル作は、暗号トリックに新しい可能性を開いたと思います。読み終わって実に満足。表紙の印象以上に、直球ストレートな、謎解きに徹した本格ミステリです。2017/02/12
マッちゃま
22
いや〜今作も面白かった♪是非ともこういった作品が若い読者の本格ミステリに興味を持つ1冊になってほしいなあ〜と感じます。キャラ自体も高校生が憧れ…ようは小中学生の子とかにも興味を持てば読んでみてほしい。でもまあ〜女子高生をJKなんて言っちゃう僕らオッサン(コトナ?)連中や元JKにもメッチャ楽しめる謎解きとキャラ設定。ホームズの聖典も多少は読んでおくと更にニヤニヤ出来るのでしょうが、そんな肩肘張らずともニヤニヤ出来ます。今作も凝りに凝ったサブタイトルと2作の中編を事件編と解決編に分けられた嬉しい作りです。2017/03/09
geshi
21
現代のミステリの中でも飛びぬけて真っ当な本格推理。『四つの題名』は暗号解読もので、一つ一つのアイデアは軽く思えても、一つの解決が次の推理のキーになる連鎖方式で謎と解明の純度・密度が濃い。フーダニットに一つ捻りを加え着地させる展開に舌を巻く。『まだらの瓶』は毒殺もので、読者へフェアに手掛かりを与えようという気配りが徹底している。和藤が推理する意外性もさることながら、そこから壁を越えて穂泉の推理がより現実感のあるものとして提示されるのがお見事。2018/06/19