内容説明
「これは革命だ」──尽くす手がないと言われた末期がん。そのがん細胞が小さくなるだけではなく、一部の患者ではがん細胞が消滅する結果が出た。その新薬は、小野薬品工業とBMSによる免疫薬「オプジーボ」。
14年9月に悪性黒色腫の治療薬として製造販売承認を受け、その対象範囲を徐々に広げている。肺がん、腎細胞がん、血液がん(ホジキンリンパ腫)での適用が認められ、さらに胃がんや食道がん、肝細胞がんなどへの適用拡大も予定。まさに「がん治療の最終兵器」として注目されている。本書はそのオプジーボを軸に、がん治療の最前線に迫るルポルタージュ。
誰にでも効果があるのか。重篤な副作用を招く危険性がある、というのは本当か。他の治療法と併用して平気なのか。薬価(公定価格)はなぜ引き下げられたのか。これからどんな類似薬が登場するのか。
医療現場の専門家や製薬メーカー、実際に体験した患者の声などを集めて多面的に解説。日経の専門記者が、もっとも知りたい疑問に答える!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zoe
9
帯にある通り、オプジーボの話。なぜタイトルには入れないで、帯にいれるのだろう???2017/02/20
風が造る景色
4
がん治療、免疫療法を知るには絶好の良書と思います。 新書に求めるのは、時間をかけずに適切な量、質の情報が得られること。それもできれば新しい方が良い。 そんな要望を十分満足させてくれました。2019/01/11
Kentaro
4
ダイジェスト版からの感想 すべての人に効くわけではないが、末期ガン患者のガン細胞が点滴だけで消える可能性のある夢の新薬オプジーポについて、その効果と薬価、副作用等が解説させる。 この薬は、γδT細胞におけるガン細胞への免疫機能を発揮させるためにガン細胞が正常細胞と認識させないようにチェックポイントを阻害させ、ガン細胞にT細胞が攻撃するようにさせる薬である。重篤な副作用が少なく、負担も少ない代わりに効果があるのは2割程度の人に限られ、加えて、一人辺り年間の薬代が3500万円もかかるというのが課題であった。2018/03/14
がばいおばちゃん
3
話題のオプジーボ。癌に効いた話しか知らなかったが、今のところ効果を認められるのは、すべての患者ではなく、時には深刻な副作用が発生する場合もあり、専門医に注意深く観察してもらえないと使用は難しいようだ。開発途上とも言える。さらなる研究で、ぜひ癌の制圧につなげてほしい。人体は複雑にできているのだろうが、免疫の仕組みが詳しく解明されることを祈っている。免疫不全の病気にも効くといいなぁ。ノーベル賞受賞が近いと聞いて7月に読んでいたのをつけ忘れていたので、記す。ノーベル賞受賞決定おめでとうございます!2018/07/29
Junya Akiba
3
免疫療法、それが本当に確実性が高く、且つ安価に利用出来るようになる日が一日でも早く来るように願ってやまない。しかし、この手の技術革新につき物であるが、研究開発費回収のための高価格と不確実性・副作用がついてまわる。しかも、皆保険制度で一人当たり数千万円の負担が保険組合に掛かるのでは現実問題として普及は難しい。ガンにおかされたもの、その恐らく全ての人は「もしも」と思いどんな治療にでもすがりたくなるものなのである。ザッカーバーグさん、何とかしてくれ~!とは、都合良すぎだろうか?2017/04/13