内容説明
【目次】美とは目的なき合目的性である/美しいものは倫理の象徴である/哲学の領域とその区分について/反省的判断力と第三批判の課題/崇高とは無限のあらわれである/演繹の問題と経験を超えるもの/芸術とは「天才」の技術である/音楽とは一箇の「災厄」である/ 「自然の目的」と「自然目的」/目的論的判断力のアンチノミー/ 「究極的目的」と倫理的世界像/美と目的と、倫理とのはざまで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
msykst
16
基本的には、第三批判を主としてカントの哲学概念を解説する本。カントって多分、色んな概念を他の概念との関係の中で定義付けていった人だと思うんだが、第三批判でのそれは病的に精密かつラディカルだったっぽい。なのでこの本も基本的にはとことん論理的で、かなり難しいという印象も抱いた。ただ最終的に提示される話は結構エモめで、カントは実は元々神学的なモチーフに魅せられていたんだが、それが第一批判の立論の過程で一度断念されたと。しかし第三批判に至って再度、一旦断念した神学的なテーマに取り組んだという事が明らかにされる。 2018/01/19
34
13
カントっていいなあ。ほんと惹かれるなあ。純理しか読んでないけど。2017/03/18
こややし
4
「カントが『判断力批判』のうちで展開した思考とその非明示的なモチーフを、批判哲学総体の布置のなかで跡づける」試み。熊野さんの読むカントは熊野さんらしく美しい。「この生は生きるにあたいし、世界は人間にとって意味ある生を可能とする仕方で組み立てられている」。2017/03/06
ジャン
2
『判断力批判』の全体を比較的容易に見通せる貴重な本。自然についての趣味判断と自然目的(最終目的としての道徳的人間)の導出が、第一批判の要諦である自然の認識と第二批判の要諦である道徳の実践を架橋する様を丁寧に描き出す。直感的判断(美的判断)の中にも超感性的なものの契機を見出して、目的論的判断(自然の究極目的としての道徳的人間)につなげていく部分が最も刺激的だった。2022/10/02
やまざき
0
難しすぎて半分も理解できなかった…。カントはきちんと読んでみたいなと思った。2022/01/16