内容説明
中国はいま、東南アジアを中心に「人民元通貨圏」の実現に向けて着実に手を打っている。自国の通貨をできるだけ多く流通させることで、国内経済は「デフレ」にならず、海外では圧倒的なプレゼンスを握ることができる。人民元の台頭は、たんなる為替現象ではない。中国の国家的意思の表明である。ひるがえって、日本では「円高がよいか」「円安がよいか」という議論が行われている。しかし、通貨というものを考えるにあたって、もっとも大事な点は「量」である。円の量を増やすと「円安」で力を落としてしまうという考えは、反対に日本の存在をますます希薄にしているだけなのだ。日本経済が抱える最大の問題である「デフレ」もまた、通貨の増加、すなわちインフレ・ターゲット政策を行なうことによって、はじめて脱却することができる。人民元とドル、ユーロ、円の攻防戦をあますところなく考察し、これからのグローバル経済を生きる指針を指し示す一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ごんちゃん
4
タイトルに魅かれてポチったものの・・・電子化されたのは最近でも、刊行は2010年やんか!!はとぽっぽ政権の頃の世界金融情勢。そんな事もあったなーとしみじみ復習しました。あれから政権も日銀も様変わりし、インフレ目標2%を掲げたものの・・・あきまへんなあ。これからは刊行日をちゃんとチェックしてから本を買おうと反省致しました。2017/07/27
ラララ
1
田村秀男 1946年生れ。早大政経卒、日経新聞入社。2010年、発刊。民主党政権発足間もない頃の世界経済環境の中で、通貨のあり方を問う。2019/02/25