内容説明
「おはなしこんにちは」というNHKの幼児向けの人気番組があったのを覚えているでしょうか。そこで朗読された童話が、本書に収められた、別役実氏の書き下ろし童話でした。表題作の「淋しいおさかな」をはじめ、「煙突のある電車」「猫貸し屋」「穴のある町」「可愛そうな市長さん」など、22作に共通するのは、穏やかな始まりと、虚をつくような結末、あるいは哀愁漂う結末など、いわゆるハッピーエンドで終るような童話ではなく、大人の鑑賞にたえ得る童話という点でした。それは、この作品集が単行本として刊行された当時、大人の支持を受け、版を重ね、復刊を望む声が多かったことでもわかると思います。まさに、本書は「大人のための童話集」の走りだったのです。かつて自分が子供だった頃を、本書を読んで思い出してみてはいかがでしょう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
96
☆5.0 劇作家の別役実がNHKの幼児番組のために書いた22編の童話集です。 ある「街」のお話です。市長さんがいて、紳士がいて、お爺さんがいて、お婆さんがいて、 牧師さんがいて、泥棒がいて、サーカスがあって、牧場があって、雨が降って、お星さまが照って、 大事件が起こって。そして、淋しいおさかながシクシク泣いている。 どこにでもあってどこにもないある「街」のお話です。2021/05/22
へくとぱすかる
12
大人が読んでも、その奇妙さに「淋しさ」と「不条理」を感じるが、本当に幼児番組のための作品を集めたもの。いったいどこの国なのだろうか。世界のどこにもないフシギで、ちょっぴりノスタルジックな、オカシイ街を舞台にして、決してハッピーエンドにならない、ねじれたお話が続く。本来は戯曲中心の「別役ワールド」に童話の形で触れられる、いわば入門編になる一冊。2014/01/03
マツユキ
10
NHKの幼児番組のために書かれた童話集だそう。どんな番組だったんだろう。表題作は、女の子が、夢に見る淋しいおさかなに会いにいくお話。女の子は淋しさがどんなものか知りませんでしたが…。どの作品も、淋しく、思い通りにならない空しさを感じました。どちらかというと、不幸せなんだけど、澄んでいる。好き。2021/09/07
tanuclear
3
とても面白かった2013/06/18
とりぞう
2
「砂漠のキャラバンは、風がおさまらなければ休めません。風の吹いている時に休んでいると、風が運んできた砂に、いつの間にか埋められてしまうからです」なんて話など。最初に読んだのはいつだったかなあ。心がこの本をもとめるうちは、ぼくは大丈夫だ(^^)、きっと。2023/02/08
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