内容説明
いつものように悪夢を見た朝、相棒から電話があった。ハイスクールで、全身を切り刻まれたうえ左手首を持ち去られた女性教師の遺体が発見されたのだ。わたしは被害者とは面識がないはずなのに、なぜか見覚えがある気がした。捜査が進むが、動機を持つ者や有益な物証、目撃情報すらない。手がかりを得るには、自分の記憶と向き合わなくてはならないのか。悪夢の原因である辛い記憶も――。情に厚く、家族を失った痛みを抱えるダニーと格闘技に秀でた女性刑事ジェン。港湾都市ロングビーチを舞台に、支え合い真実を追う刑事コンビを描く警察小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
79
生徒にも周囲にも慕われる女性教師が、ハイスクールの教室でめった刺しにされ、切り落とされた手首は持ち去られた。ある程度筋は読めてしまったけれど、ダニーとジェンの男女バディという設定や、猟奇的な事件を取り巻く人物や構成がすごく面白かった。ハムレットの一節がタイトルに使われているように、ダニーの亡くなった奥さんがシェイクスピア好きというのも、シェイクスピアの物語や世界観と重ね合わせて心情を想像していく余地へと繋がり、本の中へと没頭していった。2018/04/08
papako
68
創元推理文庫の新刊お知らせで気になって。ロングビーチの警察小説。妻を事故で亡くした主人公ダニーとその相棒ジェニーが美人教師殺害事件を追う。いろいろ伏線が張られているだけれど、回収は中途半端。犯人は登場してすぐに気づけるけれど、警察が気づかなさすぎ。アメリカの警察小説にしては仲間がみんないい人たちで読みやすいし、散りばめられた要素は面白いのに、うまく活かしきれてない感じです。ちょっと物足りない。←エラそうに。シリーズ続くとうまくいきそうなので、続編翻訳されるの待ちます。2017/03/14
ふ~@豆板醤
39
3。<本が好き!献本>海外の警察小説という今まで読んでこなかったジャンルで少々不安を抱えながらのスタート。主人公のダニーとジェンのコンビネーションが見事で、役割分担から弱点の補完などぴったりの二人に引き込まれた。個人的には、ジェンがとても魅力的な人物だった。テコンドーや合気道など格闘技が得意で、"殺人課一タフ"という女性刑事。とてもかっこいい。「蹴って押し入らずに済んでよかった」なんてセリフがあったのには思わず笑ってしまう。そんな彼女の優しさが感じられる最後のシーンが印象的。2017/03/25
ゆう
31
ハイスクールの教室で誰からも慕われていた女性教師が全身ナイフで切り刻まれ、左手首のない状態で見つかった。辛い過去を抱えるダニーと肉体派のジェン、男女刑事コンビが捜査をするのだけど、この二人の距離感が近すぎず遠すぎずで絶妙。って思ってたけどなんとなく近づいちゃったような…いいのに、そのままで。『悪い夢さえ見なければ』ってなんでこのタイトルなのかなって思っていたら、ハムレットの一節なのね。で、世界観が繋がる。なるほど。このシリーズ、本国で4作も出てるわぁ。2作目は翻訳されてたからまたいずれ。2018/04/20
白玉あずき
31
地味で淡泊だけど、最初からシリーズ化を考えた上での第一作めならこんなものでしょう。やたら残虐さを売りにする作品や、ありえないどんでん返しで読者を騙すキワモノよりはプロットも刑事達も現実的で、私は好意的に読めました。良いシリーズに育てばいいわね。「年を取るもんじゃないぞ、若造。人はどちらかひとつしか選べないー冷酷非情のひねくれ者か、涙もろい阿呆か。」ハーランさんいい味だしてる。87分署シリーズ好きだったんだけど、最後どうなったんだっけ。2017/04/26