内容説明
稀代の革命家アントニオ・グラムシ(1891-1937年)が1914年10月から逮捕・収監される直前の1926年10月に残した論考群。イタリア共産党結成に参加し、逮捕状を出されながらもムッソリーニのファシスト政権と対決し続けたグラムシは執筆活動でも戦闘を展開した。のちの「獄中ノート」に結実する独自の思想の土壌を形成する時期の論考を精選・収録した本書は、その大部分が本邦初訳となる第一級の文献である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
33
まずもっては教養を百科全書的な知ととらえる慣習から脱する必要がある(24頁)。ある国、ある社会、ある集団の歴史的目的がなんであるかを正確に認識するためには、まずもって、その国、その社会の生産と交換の体制と関係がなんであるかを認識することが重要である(75頁)。独裁は、その自由を保障し、少数党派の奇襲を阻止する基本的制度である。それが自由を保障するというのは、それがいつまでも永続させるべき方法ではなく、独裁がみずからの使命を果たしおえたのちにはそのなかに解消されることになる、2017/10/13
cockroach's garten
19
途中で断念。イタリア共産党設立の立役者で左派思想家の中でも有名なグラムシの小論を一部100ページ、一節10ページとなっている。読むのは容易いがそれを解釈するのは難しい印象。検閲で文章が幾行か削られているもののグラムシの考えは霞まない。後の方になるとイタリア社会を席巻したファシスト対する考察が読めたのだがまた再挑戦しようと思う。当時のイタリアの状況を知るという目的でも本書は価値ある一冊だろう。2018/07/01
BLACK無糖好き
15
イタリア共産党設立の中心人物アントニオ・グラムシが、1926年国家防衛法違反の容疑で逮捕・収監されるまでの時期に機関紙や評論紙に残した論考集。巻末の上村忠男による「アントニオ・グラムシ小伝」を先に読み、時代背景を押さえてから各論考を読む方が入りやすいかもしれない。とはいえ第一次世界大戦とロシア革命の衝撃から波及したイデオロギー闘争、社会変革の動き、ブルジョアやプロレタリア、農民と労働者の同盟なども現代の視点から見るといささか古臭さを感じざるを得ないが、本書も学術的な史料としては意味合いはあるのだろう。2017/11/05
古川
2
グラムシが逮捕される前に書いていた機関紙の論説などをまとめたものらしい。イタリアはサンディカリズムの強いお国柄なので、サンディカリズムではダメな理由、前衛党あっての労働組合であるという主張についてかなり紙面を割いている。また、没落の危機に陥ったプチブルを起源とするファシズム論は現代においても価値を失っていない。とはいえ、全体的には正統派マルクス・レーニン主義の範疇であり、独創的視点はあまりないと思う。グラムシ独自の思想はこのあと獄中で発展したということか。2017/12/10
湯豆腐
1
ヘゲモニー論で名高いグラムシによる論集。労働組合に対する考え方には見るべきものがある。イタリアにおける社会主義の流れを理解した上で読むとより分かりやすい。2019/08/12
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